プチ小説「友人の下宿で23」
「みなさんお忙しい中お集まりいただき有難うございます。本日は、ドビュッシー、ラヴェルの作品を
お聴きいただくとのことです。それでは高月さん、張り切ってどうぞ」
「ドビュッシー、ラヴェルは印象派と呼ばれますが、連想するのはやはり同じ時代に活躍した、モネ、セザンヌ、
ルノワールなどの画家です。両者に共通して言えるのは、ごく簡単に言うと厳格な形式から外れるところが
あったが、色彩豊かな作品を残したということではないかと思います。まずはドビュッシーもラヴェルも
ハープが主役の美しい曲を残していますので、それをまずお聴きいただきましょう。ドビュッシーの
「神聖な舞曲と世俗的な舞曲」とラヴェルの「序奏とアレグロ」です。クリュイタンス指揮パリ音楽院
管弦楽団の演奏でお聴き下さい」
「次は、ドビュッシーの「小組曲」をお聴きいただきます。この曲は、「小舟にて」「行列」「メヌエット」「バレエ」
の短い4つの曲で構成されています。ドビュッシーはこの曲をピアノ連弾用の曲として作曲しましたが、後に
ビュッセルが管弦楽曲に編曲しました。本日はそのビュッセルが編曲したものをお聴きいただきます。
アンセルメ指揮スイス・ロマンド管弦楽団の演奏でどうぞ」
「次も、ドビュッシーで「牧神の午後への前奏曲」「夜想曲」から雲、祭りをお聴きいただきましょう。演奏は
モントゥー指揮ロンドン交響楽団です」
「最後にお聴きいただくのは、ラヴェルのバレエ音楽「ダフニスとクロエ」です。ラヴェルはこの他に、「マ・メール・ロア」
や「ラ・ヴァルス」などのバレエのための音楽を作曲しており、あの有名な「ボレロ」もバレエで踊られることもあります。
ラヴェルはクラシック音楽を視覚的に魅力のあるバレエと結びつけ多くのクラシックファンを作るのに貢献した作曲家と
言えるかもしれません。クリュイタンス指揮パリ音楽院管弦楽団の演奏でどうぞ」
「百田どうだった」
「おれも昔はバレリーナに憧れて、なりたかったんだが...」
「それで...。どうしたの」
「物心ついて、男では無理とわかってあきらめたのさ」