プチ小説「クラシック音楽の四方山話 宇宙人編 47」
福居は土曜日の夜は、焼うどんか焼きそばかお好み焼きを自宅で作るようにしていた。ソース中毒だからだが、食材は自宅の直近のスーパートップワールドか自転車で7分程のところにある平和堂で購入していた、福居は夕飯を棒スパゲッティとファミリーマートで購入したパスタソースで誤魔化すこともあったが、その場合は肉を食べた満腹感が欲しいのでマルシンハンバーグブラックペッパー味2個を一緒に食べた。このハンバーグは平和堂にしか置いていなかった。福居は今日はスパゲッティをいかすみ、アラビアータ、ペペロンチーノのソースで食べるが、それだけでは物足りないのでマルシンハンバーグのブラックペッパー味を平和堂で買って帰ることにした。冷凍食品売り場に行くと、M29800星雲からやって来た宇宙人がイシイのチキンハンバーグにしようかマルシンの鶏豚牛ミンチハンバーグにしようか悩んでいた。宇宙人は頬に手をやって、ドウシヨウカナーと呟いていた。
「谷さん、こんにちは。ぼくは谷さんは外食ばかりと思っていたんですが、自宅で調理されるんですね」
「ワシモアンタトオナジデ、セツヤクセントナガイジンセイツヅケラレントオモウヨウニナッテン」
「そうですか、でも谷さんはふるさとの星では英雄だから年金なんかもたくさんもらっているんじゃないですか」
「ソレハソノトオリヤネンケド、ワシラ200サイマデイキルカラネンキンハソレホドモラエンノヨ。ダカラセツヤクハヒツヨウナンヨ」
「それでスーパーでどんなものを買われるんですか」
「ボウラーメン、ボウウドン、ボウソバ、ボウスパゲッティ、ボウホウトウナンカヤネ」
「谷さんは麺類がお好きでしたね。でも今日はハンバーグなんですね」
「ハンバーグハモトモトスキナンヤガ、コウキュウワギュウナンカデツクッタノハタカイカラネ。ワシラショミンハマルシンカイシイヤネ」
「ハンバーグは満腹感があるからいいですね。それからひき肉は安いですから、ミートスパゲッティや麻婆豆腐の料理もいいんじゃないですか」
「モチロンルーミックノミートソースノモトハキラシタコトガナイシマーボドウフノモトハイロイロアルカラマヨウネ」
「そうだ、この前アマゾンを見ていたらボンカレーのカレーうどんの素というレトルトパックの宣伝をしていました」
「ワシハライスガエエケド、タマニハウドンデモエエントチャウ」
「カレーのレトルトパックをうどんやスパゲッティにかけるとあまりおいしくありません。それで最近はカレーうどん用のレトルトパックができたんだと思います。ついでにカレースパゲッティの素も開発してもらえないかなと思います」
「カレーナンバンモエエカモネ。トコロデキョウモクラシックオンガクノオモロイハナシシテクレヘンカ」
「それでは今日はグレン・グールドの名盤のお話をしましょう」
「ゴールドベルクヘンソウキョクデユウメイナカナダノピアニストヤネ。ホカニモメイバンガアルンカナ」
「グールドは平均律などバッハの曲のレコードをたくさん残していますが、ぼくは古典派やロマン派の彼のレコードが好きです」
「ストコフスキートキョウエンシタベートーヴェンノ「コウテイ」ハメイエントイワレトルネ。ワシガコジンテキニスキナノハコウキョウキョクダイ5バン「ウンメイ」ヲピアノヨウニリストガヘンキョクシタノヲエンソウシテルレコードヤネ」
「ぼくはワーグナーの管弦楽曲を編曲したレコードが好きでジークフリート牧歌はよく聞きました。ブラームスの間奏曲は作品117の1だけが有名で他の曲はほとんど聞かなかったのですが、じっくり聴いてみると10曲とも落ち着いた素晴らしい曲で、今ではこのレコードはゴールドベルク変奏曲との双璧と思うようになりました」
「ソウヘキナンテナツカシイコトバツカウンヤネ。ムジュントカキユウトカダソクトカムカシナラッタネ」
「ぼくは臥薪嘗胆が好きですね」
「ソウヤネ、モシカシタラナマヤケノレバニライタメヲタベタラ、ニガイカライカリノパワーガバクハツシテオモワヌケッカガデルカモシレヘンネ。ダッセンシテモウタケド、ホカニイイタイコトハナイカ」
「グールドの呟きは気になりますが、それをガマンすれば独自の世界に浸れます。彼の場合は楽譜をいじりすぎるところもありますが、それで曲が盛り上がるのだったら演奏家は思い切ったことをどんどんどしどしやったらいいと思います」