室生寺の五重塔はすばらしいです(紀行文)

小学生の頃に旅行のガイドブックで見て以来、一度は室生寺の五重塔を見たいと思っていたのですが、予期せぬ出来事のために一時それが不可能になりました。それは1998年(平成10年)の台風によって杉の大木が倒れて五重塔が大きな被害を受けたことでした。当時、私は仕事が忙しくそれから5年程は室生寺の五重塔がその後どうなったかと考える暇もありませんでした。そのためテレビや写真で見た赤み(朱色)が増した五重塔は一度撤去して新築(?)したものだと思っていました。調べてみると「台風で背後の杉が倒れて大きな損傷があったが、本体が無事だったので修復作業を経てよみがえった」ということがわかりましたが、今日室生寺近くの喫茶むろうのおばさんに教えてもらうまでは再建されたものだと思っていたのです。そんな勘違いもあって平成10年以降は室生寺に行くことは考えませんでした。私はお寺の写真を撮って許可が得られれば自分のホームページに掲載していますが京都のお寺はだいたい行きたいところは行ったので、今度は少し遠方になるが奈良のお寺も行こうと考えたのでした。でも京都と同様、絶対撮影禁止というお寺もあり、今のところホームページに掲載したのは薬師寺と浄瑠璃寺だけです。今日室生寺の後に行った長谷寺も撮影禁止でした(花(ボタンとアジサイ)の季節には花だけ撮れるのかもしれません)。唐招提寺もそうでした。室生寺は受付で尋ねると大丈夫とのことでした。
大阪環状線鶴橋で近鉄線に乗り換え近鉄八木駅のから急行電車で5つ目の室生口大野駅で下車して駅のすぐそばの旅行案内所で尋ねたところ、バスが40分後に出るので室生寺に行く前に大野寺の摩崖仏を見た方が良いと言われました。室生寺に行くバスが通るので戻る必要がないとのことだったので、案内所の方が言われたとおりにすることにして10分余り歩きました。摩崖仏を見た後、バス停のベンチに腰掛けていると奈良市に住む女子大生が話し掛けて来ました。ナカジマさんとは長谷寺の駅で別れるまでは楽しい時を過ごしましたが、詳細は控えます。

   

バスを降りてしばらく行くと山門があり、弥勒堂、金堂、本堂と上がって行きました。金堂の釈迦如来立像がありましたが、寶物殿の十一面観音菩薩立像や釈迦如来坐像の方が親しみを感じました。仏像はどこのお寺も撮影禁止なのですが、本堂で写真を販売していたので購入しました。そうしていよいよ五重塔です。ナカジマさんは建築を学ばれていて(建築家は昔の建造物を研究する方もおられて彼女はそちらを学ばれています)五重塔に特に興味を持っておられるそうで、学んだことを少し話てくれました。京都や奈良には有名な五重塔がたくさんありますが、自然の景色とうまく溶け合ってすばらしい景観になっているのは室生寺が一番だと思います。石段も趣がありますし、5月初旬にはシャクナゲが咲き彩を添えます。シャクナゲの頃にもう一度室生寺に来られたらと思いました。

    

    

そこからさらに奥の院がありました。普段だったら行かないところですが、ナカジマさんが行かれると言われたので頑張って行きました。炎天下の中20分近く石段を登るのは大変でしたが、何とか登ることが出来ほっとしました。一休みした後に山門まで戻り寶物殿に入りました。十一面観音立像と曼荼羅が印象に残りました。昼食を食べて喫茶むろうでいちごみるくのかき氷を食べましたが、その時に先に書いたようにおばさんから五重塔が被害を受けてから復元されるまでの話を聞きました。私が建て替えをしたのかと話すとおばさんはそんな簡単に(歴史的建造物を)新しく作ることは出来ないんですよと言われ、私は少し恥ずかしくなりました。店に五重塔に被害があった時の写真が掛けられていたので、私がおばさんに当時のことを尋ねたのですが、その写真を近くでじっくりと見てこれほどの被害があったのに復元できたということに驚き、携わられた職人さんに感謝したいと思いました。

   

ナカジマさんは奈良市内に戻られるということで長谷寺の駅で私だけが下車して長谷寺に向いました。駅から寺まで20分程炎天下の中を歩きましたが、楽しい話をしながら室生寺の奥の院まで歩いた時とは大違いでした。花のシーズンではなく写真を撮ることもできなかったので、柴犬おみくじ(母親へのおみやげ 大吉でした)を購入して、五重塔(昭和29年再建)を見て帰途に着きました。