プチ小説「クラシック音楽の四方山話 宇宙人編55」

福居は大学生の頃からあちこちの王将で昼ごはんや晩ごはんを食べているが、昔のように餃子中心の食事(例えば餃子とニラレバ炒めとか)ではなく中華飯か天津飯ともう一食というのが多くなった。中学生の頃に餃子のタダ券で餃子だけを食べに行ったかどうかは覚えていないが、その食券のおかげで王将が身近になったことは間違いない。それでも大学生の頃は貧しかったから、タダの餃子と中華飯か天津飯というのが多かったと思う。それからニラレバ炒め、青椒肉絲、焼きそばは早くから食べているが、鶏の唐揚、豚キムチ、酢豚、回鍋肉、麻婆豆腐、八宝菜、カニ玉を食べるようになったのは最近のことである。人から見られると馬鹿にされそうな気がするので、大盛り焼きそばと餃子2人前とか、大盛り焼きそばとジャストサイズ豚キムチ、大盛り焼きそばとジャストサイズニラレバ炒めというのは周りにお客さんがいない時にこっそり店員に注文することにしている。王将を利用する時にいつも感じるのはテーブルが狭くてお皿が3つ以上になると置けないことである。特に大盛り焼きそばは器が大きいので2つでも置けない。大盛り焼きそばを全部食べてから、他の注文した料理を食べることにしている。今日、福居は阪急大宮駅近くの王将を利用したが、中華飯とジャストサイズ鶏の唐揚を注文してしばらくするとM29800星雲からやって来た宇宙人が福居の隣に座った。
「ココハナニガウマインヤ」
「やはりこの店のウリは餃子なんでしょうが、ぼくは薄皮餃子に豆板醤をつけて食べるのが好きなので、やはり中華飯と天津飯でしょうか。最近はそれと一緒に鶏の唐揚か豚キムチを頼むことが多いです。焼きそばはぼくにとってご飯のようなものですから、選ぶのに困ったら頼みますね」
「ホタラ、ニイチャン、テンシンハンノオオモリトアゲソバノオオモリチョウダイ」
「???」
「ほらほら、谷さん、イレギュラーな注文をして店員さんを困らせては駄目ですよ。天津飯も揚げそばも大盛りはやってないんですから。でも焼きそばは大盛りできますから、それと何かを注文すればいいんじゃないですか」
「ヨシ、ワカッタ。ソシタラ、ヤキソバノオオモリヲ3ツクダサイ」
「谷さんの場合、鶏肉も豚肉も野菜も中華麺もお腹を満たすだけで味とか調理方法は関係ないのかもしれませんが、焼きそばの大盛りだけというのはやめてください」
「ナンデヤノン」
「たとえ焼きそばの大盛りを頼んだとしても、もう一品は鶏の唐揚とか頼んだ方が何となく体にいい気がするからです」
「ソウナンヤネ、ソシタラレーメンモオクレ」
「勝手にしてーーーん」
「ソレハコウイウコトナノーーーン。リユウガアルノンヨ」
「すみません、前回と同じようにあほなことをしてしまいました」
「ユウハンデセイガツクモンバッカリタベトッテ、ヨナカニメガサエテアサマデオキトッタコトガアルノヨ」
「餃子5人前とかですか」
「ギョウザ8ニンマエトブタキムチトキムチラーメンヲタベテン。ネムレンカッタラコマルシネ。タンスイカブツヤッタラ、ソノシンパイナイトオモウタノヨ」
「よく考えるとコーヒー、紅茶に限らず、ぼくは濃い煎茶やほうじ茶なんかでも眠れなくなることがあります。それからホカ弁についていた豆板醤や鷹の爪入りのスパゲッティソースで眠れなくなったことがあります。それからカレーパンでもなりました」
「キットアンタガセンサイヤカラナルンヤワ。トコロデクラシックオンガクノオモシロイハナシヲシテクレヘン」
「今年はかつてない記録的な猛暑で、あと1ヶ月は暑さが収まらないと言われています。この調子では物思いに耽ることができず、紅葉はしわしわの枯葉ばかりになってしまう気がします。でも空想するは勝手ですから、静かな心地よい読書の季節らしい夜を思い浮かべて、それにぴったりの音楽を考えたいと思います」
「ゴゴ9ジカラステレオカラナガレルソノオンガクニミミヲカタムケテココチヨウナッテベッドニハイル、トコウイウワケヤネ」
「そうですそういう時に聞くといい音楽です。まず最初はレスピーギのリュートのための古風な舞曲とアリアですね」
「アア、ソレハマリナーバンガエエネ」
「よくご存じですね。ぼくはドラティ盤も好きですよ。それから2番目はベートーヴェンのチェロ・ソナタ第1番と第2番です」
「ソレハナンデ。3バンガユウメイヤケドナ」
「作品5で27才の頃に作曲された作品ですが、ベートーヴェンの純粋で瑞々しい音楽が聞けます。メロディも美しいです。お勧めはガザルス(ゼルキンとの共演の方がいいです)かフルニエ(ケンプとの共演の方がいいです)でどちらもすばらしいです。あと一つは...」
「モウヒトツハピアノキョクガエエネ」
「それじゃあ、グリーグの叙情小曲集はどうでしょう」
「ゼンキョクバンヤナイケドギレリスノガエエネ。ソレカラグリーグハヴァイオリン・ソナタモエエントチャウ」
「ドミトリー・シトコヴェツキー(Vn)ベラ・ダヴィドヴィチ(P)母子盤がいいですが、フルート編曲もあるようなので聞いてみたいと思います」
「ナターリア・カトーサンガカワイイカラネ」 ※ YOU TUBE で見られます。