プチ小説「クラシック音楽の四方山話 宇宙人編 62」
福居は毎年正月3ヶ日のいずれかの日にグランフロント大阪の島村楽器に行きフリールーム(30分660円)を借りてクラリネット練習をするが、今年も出掛けることにした。JR大阪駅で下車してエスカレーターに乗っていると後ろからM29800星雲からやって来た宇宙人が福居の背中を叩いた。
「マイトシゴクロウサンヤネ。ネンシノオマイリトカ、リョコウトカシタラエエノニクラリネットノレンシュウヲスルンヤカラ」
「でもクラリネットは練習が途切れると指がスムーズに動かなくなります。また運指を忘れます。ぼくは2009年からレッスンを受けるようになって、スタジオでのレッスンを欠かしません」
「ソヤケドナガイアイダオセワニナッタスイタシウチホンマチニアルSTUDIO YOU ニハイカヘンヨウニナッタネ」
「確かに STUDIO YOU さんには長い間お世話になりましたが、長年勤務していた吹田市内の職場に行かなくなってからは行っていません。もう2年5ヶ月行っていないですね。今はレッスンを受ける直前にJEUGIAミュージックサロン四条のスタジオで練習できるので、通う時間が無くなって良かったなと思っています。家から片道1時間以上かかりますし電車賃も掛ります。夏の暑い日や冬の寒い日は行くだけでバテテしまいます。職場の帰りに行けるというのだけが唯一のメリットでしたが、仕事をやめたので行く理由もなくなりました」
「ソンナンユウテモ、チョビットハイキタイトオモウトルントチャウノン」
「今は仕事をしていないのでレッスンの前に自由に練習できます。ミュージックサロン四条のスタジオは色々ですが、部屋によってはとてもいい響きなので
STUDIO YOU のバンド用のスタジオとは大分違います。遠いですし何もなければ行くことはないと思います」
「トコロデアンタハイロイロヤッテキタケドコレカラドウスルノン」
「2018年の発表会で「ほほえみの国」(レハール)を演奏してから、自分で購入した楽譜をfinaleに入力してクラリネット用に転調したものを一人で発表会でピアノ伴奏付きで演奏するのにやりがいを感じるようになりました。2023年に「清らかな女神よ」(ベルリーニ)を2024年に「月に寄せる歌」(ドヴォルザーク)を発表会で演奏しましたが、2025年6月(予定)の発表会の曲目は決まっていません。多分、昨年の終わりからレッスンを受けている「ソルヴェイグの歌」(グリーグ)になると思いますが、どうせなら習ったことのないクラシックの曲のレッスンを一から受けたい気もします」
「ナニヲエンソウスルカタノシミニシテルワ。トコロデアンタツイデヤカラアンタガスキナクラリネットノエンソウカトスイセンスルアルバムヲイウタッテ」
「わかりました。ぼくのクラリネットの曲の収集の始まりはウラッハとウィーン・コンツェルトハウス四重奏団のモーツァルトのクラリネット五重奏曲でした。それからウラッハのレコードを集め始めたのですが、今でも好きなのはモーツァルトのクラリネット協奏曲です。ベートーヴェンの七重奏曲とシューベルトの八重奏曲も素晴らしいです」
「ブラームスノメイキョククラリネットゴジュウソウキョクモウラッハガエエネ」
「そうですね、でもクラリネット・ソナタ第1番と第2番はカール・ライスターとゲルハルト・オピッツのが長年聞き続けている名盤です」
「モーツァルトノケーゲルシュタットトリオモクラリネットガハイットルネ」
「あとピアノとヴィオラで演奏するんですが、これはジェルバーズ・ド・ペイエが率いるメロス・アンサンブルのメンバーによる演奏をよく聴きます。ド・ペイエのクラリネットの音色が好きなんです。ド・ペイエのブラームスのクラリネット・ソナタ第1番と第2番もよく聞きました」
「ホカニハウェーバートカアルネ」
「ウェーバーはザビーネ・マイヤーが何となくいい気がします」
「ビミョウナイイカタヤネ」
「3回聞いてなかなかいいなと思っただけですから。元々ウェーバーの曲は聞かないんです。「舞踏への勧誘」くらいです。モーツァルトのクラリネット協奏曲はウラッハ以外にもたくさん名演奏があります」
「エンリョセントイウタッテ」
「ここはクラリネットの先生がレッスンを受けられたジャック・ランスロとクラリネットの先生が好きなリチャード・ストルツマンをあげておきます」