プチ小説「クラシック音楽の四方山話 宇宙人編 63」

福居は今までに3、4回東大阪花園ラグビー場に高校ラグビーの準々決勝を見に行ったことがあるが、今年も面白そうなので行ってみたいと思っていた。そう思って当日の朝にネット検索をしているとMBSがライブ配信をしていることがわかったので、現場まで行くのはやめて配信が始まるの前にトップワールドで昼食と夕食の買い物をすることにした。店内に入ると乾物売り場で買い物かごを腕にぶら下げて顎に手をやるM29800星雲からやって来た宇宙人の姿が目に入った。福居は笑いをこらえながら尋ねた。
「谷さん、おめでとうございます。今年もよろしくお願いします。ところでお節料理では物足りないので買いに来られたのですか」
「ソウヤネン。ワシハシオカライモンガダイスキデネ、カズノコモクロマメモゴマメモシオダイモニシンノコブマキモボウダラノニシメモイクラモ、ソレデマンプクニナッタンヤケドキョウハギンジャケトオジャコトワカサギノニツケトイカオウゴントシシャモノミリンボシガタベタクナッテカイニキタンヨ」
「そうなんですね。やっぱり白米とお味噌汁なんかと一緒にたべられるんですね」
「イヤ、チガウヨ、ワシラノトコデハパンニハサンダリオコノミヤキノグザイニシタリカレーニマゼタリオヤコドンブリニイレタリスルンヨ」
「そうか、それも面白そうだな。でもスキヤキやてっちりやカニすきに入れないですよね」
「ソウヤネー、デモオカネガアルトキハスキヤキニカズノコヲイレルコトハアルヨ」
「それは正月のスペシャルな料理なのかもしれませんが、ぼくにはもったいない気がします」
「アンタハコノアトラグビーノライブハイシンミルンヤロ」
「ええ、今年はハイレベルで面白そうですから。花園ラグビー場まで久しぶりに行きたかったのですが、病み上がりだしお金もないので行くのを諦めました。最近テレビ中継がほとんどないのでMBSのホームページを見ていたらラグビー生中継のライブ配信があることがわかったので、この後パソコンで見ようかなと思っています。スマホでも見られるので、谷さんも見られたらいかがでしょうか」
「ワシハナガタガシュショウデキヨミヤヤホリコシヤイマイズミガカツヤクシトッタトキノワセダダイガクガイチバンスキデ、ソノアトハキョウミガナクナッタノヨ。トキドキソンナセンシュガオランカトチョビットテレビカンセンシヨルケド、デテコンワ」
「ぼくは大学ラグビーは卒業して高校ラグビーにちょびっとだけ興味がありますが、全日ももうちょびっと頑張って外国チームから金星をどんどんどしどし取ってほしい気がします」
「ソレハサテオキ、アンタハイゼンサクネンインタイサレタイノウエミチヨシサンニアマガサキノアルカイックホールデアッタコトガアルンヤロ」
「ええ、二期会がプッチーニ「ボエーム」を演奏するということで出掛けたのですが、当然、最後列でした。ぼくの隣に座った公務員の男性が空いてる席に座ってその人が来たら謝ったらしまいやから前に行きましょうと言われ、S席に連れて行かれました。するとしばらくして井上氏がやって来て、ここは私の席ではないかと言われ、2人ですいませんと言って元の席に戻ったのでした。今までしたことがないような悪いことをしたようで、落ち着かずその公演のことは何もおぼえていません。そういうこともあってひとりでじっくり楽しめるアナログレコード鑑賞に落ち着いたのですが、その公務員の男性はコンサートの後も、何か食べて帰りませんかと言われたので中華料理屋に入って話をしたのでした。その人はもうアナログは駄目だ。私の友人はアナログレコードをすべて処分したと胸を張って言われたので、しばらくはCDに傾倒しましたが、どう聞いてもアナログの音が優っているので、アナログレコードの復活のために東京の名曲喫茶でLPレコードコンサートを開催するようになったのです。切っ掛けというのはいろいろあるものです」
「ソシタラ、アンタハコンサートニハホトンドイカンカッタンヤネ」
「とにかくお金がかかるので行きませんでした。行っておいたら良かったのにと後悔するアーティストは、アルフレート・ブレンデルとイツァーク・パールマンとポール・モーリアでしょうか。それでもヤーノシュ・シュタルケル、クリスタ・ルートヴィヒだけは生を聞いたのでそれで十分かと思っています。もちろん有名指揮者による有名オーケストラとか、オペラはとても高くて行くことは考えませんでした」
「キョウハアンタガスキナオペラノレコードヲショウカイシテクレヘンカ」
「何度も自分のサイトで上げているので、ワーグナー「タンホイザー」サヴァリッシュ盤、モーツァルト「魔笛」スイトナー盤、プッチーニ「ボエーム」セラフィン盤は別格ですが、他にもいくつご紹介しておきましょう」
「ゴショウカイシテ」
「ヴェルディについて言えば、昔は「椿姫」のファンだったのですが、内容的に問題があり「トロヴァトーレ」に惹かれるようになりました。やはりセラフィン盤が一番でしょう。
「ビゼーノ「カルメン」ノヒロインノセイカクガキライヤカラ「カルメン」ハキキタクナイトイウアンタガイイソウナコトヤナ」
「モーツァルト「フィガロの結婚」はやはりエーリッヒ・クライバー盤が一番だと思います。ロッシーニ「セビリアの理髪師」はアバド盤ですね」
「ナンヤソレダケヤノン。ショルティノ「ニーベルングノユビワ」トカリヒャルト・シュトラウスノ「バラノキシ」モキイタンチャウノン」
「ドチラモナガイワリニキキドコロガスクナイナトオモッタダケデシタ」
「ナンデアンタガカタカナヤノン」
「それはもちろん船場がうっかりミスをしただけです。他に敢えて言うなら、コンビチュニー指揮の「タンホイザー」ですがサヴァリッシュ盤の方が聞きごたえがあります」
「アンタハチョビットダケキイテマンゾクデケンカラ、ゼンキョクキク。ソヤカラタンジカンデゼンキョクガキケルインストガエエンヤロネ」
「そうなんです。例えば「タンホイザー」の第1部だけで満足はとてもできません。もちろん「夕星の歌」だけでも。それから時間がないので、もうこれ以上オペラの名盤探しはしないと思います」