プチ小説「いちびりのおっさんのぷち話 正月はみんなでわいわいと編」
わしが小さい頃は正月いうたら茨木市にあった親戚の家に家族みんなで行ったもんやった。御馳走食べて、お年玉もろうて、そこの2つ上の男の子が普段から買いためた漫画やおもちゃで遊んだもんやった。晩ごはんの前にヒーローのロボット(当時はアトムと鉄人28号が流行っとった)のおもちゃで遊んだり、鉄腕アトムや鉄人28号の漫画本を読んだりして、自分の家には漫画本もおもちゃもないのに気付いたのやった。そやけどその翌日には近所のおもちゃ屋さんに行って前日にもろうたお年玉で親戚のおもちゃに比べたらささやかなおもちゃを購入して、ちょびっとだけ喜びに浸ったんやった。中学、高校になるとおもちゃを買うことはなくなり専ら本を購入するようになった。中学は漫画本、高校は文庫本や参考書(親がお金を出してくれるのがほとんどやったが)のためにお年玉をあてていたと思う。そうして大学の時にいろいろ事情があって親戚での集まりはなくなった。大学生の頃はバイトをしとったけど、親からお小遣いはもらっとった。今の学生さんはバイトをして学費や小遣いを稼いではるが、わしは高校時代に全然勉強せんかったから予習をせんと大学の授業を受けられるほど優秀やなかった。ほんで長期の休みしかバイトはせんかった。そんなんやったから、正月は後期試験の勉強しとった記憶がある。弟は東京の学校に行ったし、妹は結婚したから家で両親とささやかな正月をすることが多かったんやと思うけど、小さい頃程正月のことは記憶に残っとらへん。社会人になって大学の友人と何回か京都で飲んだような気がするけど、これも記憶に残っとらん。船場はわしとほぼ同じ人生を過ごしてきたと思うんやけど、あいつ最近、金がない金がない言うて人とのつき合いをせんようになった。昔からお世話になっている、「たこちゃんシリーズ」の鼻田さん、「青春の光」の橋本さんや田中君、「こんにちは、N先生」のN先生とのつき合いを大切にせんと最近はM29800星雲からやって来た宇宙人の谷さんとばっかり話しとる。確かに谷さんはキャラが立っとるから、地味な鼻田さんや橋本さんや田中君より登場させやすいんやろう。わしも宇宙人みたいに宇宙船に乗ったり、突然出現したり、空を飛んだりでけんから扱いにくいと船場から敬遠されるかもしらん。あいつ、わしら昔からプチ小説に登場しとるキャラをどう思うとるんやろ。いっぺん訊いてみたろ。おーい、船場ーっ、おるかーっ。はいはい、わたしがにいさんやN先生や鼻田さんや橋本さんや田中さんのことをどう思っているかということですね。私はみなさんにプチ小説に登場していただいて、花を添えていただきました。花を添えた言うて、わしら男ばっかりやで。みんな言いたいことがあるようやから、自分の名前をあげてその後「」をつけて言うてな。N先生「ぼくとFくんは卒業をしてからしばらく手紙でやり取りをしていたが、今は音信はない。『こんにちは、ディケンズ先生』が出版されてしばらくして、ぼくのことを思い出してくれてぼくに彼の書評についての意見を言わせるようになったが、実際にぼくの意見を聞いているわけではないから。ぼくの意見はすべてFくんの創作だ。興味深くは読ませていただいているが、そこのところは読者のみなさんに知っておいてほしいところだ」いちびりのおっさん「N先生が言われるように、船場はわしらに言うとかなあかんことがたくさんある。一番気の毒なのは最近ほとんど登場機会がない鼻田さんや」船場「鼻田さんは職場の直近の駅前で客待ちをされているタクシー運転手さんで明るくスキンヘッドで一際輝いておられたので「たこちゃんシリーズ」に出ていただいていましたが、2年以上前に退職しましたので阪急相川駅に行くこともなくなりました。最後にお会いした時相川駅前で客待ちをしていたタクシー運転手さんは75才くらいだったので、さすがに登場していただくのは...」鼻田「ほんまにそうなんか。わしは、たこちゃんの○○の○○がネタ切れになったからやと諦めとったんやけど、そんな理由やったらもっと登場させてもらって、船場はんとうさぎ跳びやリヤカーごっこをまたしたいなあ」いちびりのおっさん「橋本さんと田中さんは船場のことどない思とるのかな」橋本「私は船場君の応援団やから、今のところは『こんにちは、ディケンズ先生』が売れるようにと頑張るだけで、売れ行きが伸びない今は小休止というところかな。新刊が出たら、応援しやすいだろ、なあ、田中君」田中「そうですね、『こんにちは、ディケンズ先生』は、近代文藝社から第1巻と第2巻、幻冬舎ルネッサンス新社から改訂版の第1巻と第2巻、それから第3巻と第4巻が出版されて、売れるのを期待しているところですが思うように売れません。新刊が出ればまたそれが売れるように橋本さんと頑張るのですが、新刊が出ない今のところは船場さんの別の活動について話すしかないですね」いちびりのおっさん「船場は『こんにちは、ディケンズ先生』の第3巻と第4巻を出版して、出版に使えるお金はなくなったと言っとった。そやからあとは懸賞小説で大賞を取るしかないと言うとった。これは吉報を待つしかない」N先生「まあ、みなさん、彼が文学のことをいろいろ試行錯誤しながらやっているので、お暇な時にFくんを盛り立ててやってください」いちびりのおっさん 鼻田 橋本 田中「はい、わかりました。暇な時にそうさせてもらいます」いちびりのおっさん「おお、やっぱり、あいつも来よった」M29800星雲からやって来た宇宙人「ミナサン、ワシモマゼテンカ。ホンデナ、ウマクイッタラ、バンザイシマショウ。コレカラモヨロシクネ」