プチ小説「クラシック音楽の四方山話 宇宙人編 80」
福居は8月7日から2週間は母校立命館大学図書館には行かなかったが、久しぶりに大学図書館に行くことにした。8月はクラリネットのレッスンを休みにしてもらったが、今日久しぶりにレッスン室を借りて2時間ほど練習しようと思った。午後2時前に図書館を出たが、レッスン室を借りるJEUGIAミュージックサロン四条に行く時はいつも立命館大学前発の55番の市バスを利用していた。ドアが開いて福居が中に入ると、M29800星雲からやって来た宇宙人が一番前の席にいてエアコンの送風口をいじっていた。
「あれっ、谷さんはいつの間にバスに乗ったのですか」
福居がそう言うと、それに気づかなかったバスの運転手は谷が言った言葉にもっと驚いた。
「ソラソウフウコウニキマッテマンガナ」
福居は宇宙人の話に運転手が驚いているようだったので、一番後ろの席へとM29800星雲からやって来た宇宙人を移動させた。
「ぼくは今、谷さんが言われたことは自然に受け入れられますが、運転手さんにとっては刺激が強すぎます。運転手さんは落ち着かれてバスを発車させましたが、これ以上バスの運転手さんを困らせるようなことはしないでください。ところで谷さんは今からどこに行かれるのですか」
「アンタトオナジデキンケツナンヨ。ダカラシジョウカラスマノヨシノヤカスキヤカデゴハンヲタベヨウトオモットルン」
「そうですか、ぼくはすき家のまぐろたたき丼と豚汁が好きです。新メニューのバターチキンカレーも美味しいですね」
「トコロデアンタサイキンハボウウドン、ボウソバ、イワシノヒモノ、シシャモノヒモノ、サツマアゲバッカリクウトルンヤネ」
「そうですね、鶏肉は焼くのが面倒ですし、牛豚肉は高くなりました。それで家にいる時は食費がかからないようにしています。大学図書館を利用する時もお金がかからないようになか卯の朝定食を食べています。仕事をしていた時のお昼はいつもおにぎり3個だったのですが、おにぎりも最近高くなりました。400円でおつりがもらえたのに今は600円くらいします。大学の近くのファミリーマートの前のベンチでおにぎりを食べたことがありますが、最近は危険な暑さでおにぎりで安上がりにすることもできません」
「ホタラ、モットスウリョウヲヘラシタラエエントチャウ」
「いいえ、それはダメなんです。ここのところファストフード店でぜいたくな昼食を取るようになったので、おにぎりの数を減らしたんでは夕食まで持ちません。ここ2週間は家から出なかったので食事量を減らして食費を節約できないか考えたのですが、できませんでした」
「コノチョウシヤト90キロダイハチカイ。フトルノガイヤヤッタラ、ショクジヲヘラスシカナイトオモウケドナァ。マイニチ1ジカンモモアゲヲヤッテモゼンゼンヤセヘンヤン。トコロデキョウモクラシックオンガクノオモシロイハナシシテクレヘンカ」
「わかりました。ところで谷さんはブラームスの4つの交響曲の中ではどの曲が好きですか」
「ベートーヴェンノダイ9バンニツヅクコウキョウキョクヲトイワレルダイ1バンモエエシ、ブラームスノデンエンコウキョウキョクトイワレルダイ2バンモヨロシイナア。ダイ3バンノダイ3ガクショウハカナシクテウツクシイシ、ダイ4バンハイブシギンノブラームスラシイコウキョウキョクヤトイエル。デモダイ1バントダイ2バンガスバラシイ。ドッチカナア、ヤッパリダイ1バンニシトクワ」
「そうですね。わたしも第1番が一番だと思います。ではそのブラームスの交響曲第1番に続く楽曲は何でしょうか。勿論こんなことを考えるのはぼくだけですが」
「ソラコウキョウキョクヲタクサンサッキョクシタ、ドヴォルザーク、チャイコフスキー、シベリウス、ブルックナー、マーラーナンカノガッキョクノウチノドレカヤトオモウワ。ソウヤナア、ワシハシベリウスノコウキョウキョクダイ2バンガエエトオモウワ」
「ぼくはマーラーの交響曲第3番なんです。この曲は2つの楽章が歌の楽章(ソプラノ独唱と少年合唱団の合唱)ですし演奏時間も1時間40分とどの交響曲よりも長いですしどの楽章にも美しい旋律があふれています。なのでその資格充分だと思うのです」
「ソウイエバシベリウス2、ドヴォルザーク9、チャイコフスキー5、ブルックナー7ハワシモスキヤケド、マーラー3ホドノスゴサハナイネ。アンタガイウトオリヤトオモウヨ」
「ぼくはこの曲が好きで、アナログレコードではヤッシャ・ホーレンシュタイン指揮ロンドン交響楽団のユニコーン盤を持っています。この前に久しぶりに聞いたのですが、アバドもいいですがこちらも聞きごたえがありました」
「イッペンキカセテクレヘン」
「いいですよ。谷さんなら大歓迎です」