プチ小説「クラシック音楽の四方山話 宇宙人編 87」
福居は、「スターウォーズ」第1話(エピソード4)を小説の参考にしようと久しぶりに河原町四条のタワーレコードにやって来たが、予算より高かったので購入を見送った。映画のDVDの売り場は余り大きくなかったが、ディズニー映画の棚は他より広くお客さんも多かった。その中にM29800星雲からやって来た宇宙人がいたので、福居は声を掛けた。
「谷さん、何を探しておられるのですか」
「ディズニーエイガ ファンタジアハストコフスキーサンガシュヤクノオンガクエイガナンヤロ。イッペンミタイナアトオモウテサガスンヤガミツカランノヤ」
「それは無理ですよ。ここには最近のディズニー映画しかありませんから。1枚500円のディズニー映画の棚を探さないと」
「ソウカ、ダンボトカピノキオトカオイトルタナヤナ」
宇宙人がお目当てのDVDを見つけたのでそれを購入して、二人は外に出て河原町通りをぶらつくことにした。
「サイキンハネットツウハンガアルカラ、アンマリココニハコーヘンネ」
「最近はそれにとどまらず、ものではなくソフトだけがネットで売られるようになりました。最近はキャッシュレスの時代になりつつありますし音楽ソフトもネットでソフトの購入というのが多くなりました。本も端末で読む人が多くなりました。ぼくはCDも本もものを購入しています。手に取ってパッケージの情報を見ながら購入するか決める私にはお店が減っていくのは悲しいことです」
「ソウナンヤ、アンタハロウニンジダイカラオオサカヤキョウトノホンヤサンヤレコードヤサン(CDショップ)アチコチデカケタンヤロ。キオクニノコッテイルノヲコノキカイニイウテミタラドウヤ」
「いいですよ」
「ジャア、マズハ、ホンヤサンカラ」
「現役で今でもたくさんのお客さんが行っている店舗は除きます。まず何と言っても真っ先に浮かぶ本屋さんは旭屋さんですね。旭屋さんはぼくが高校生の頃まで今のヒルトンホテルの辺りに別店舗があって何度か行きました。曽根崎の店舗は京都の大学(立命館大学)に通学するようになるまでよく行きました」
「ダイガクノコロハシンシンドウヤロ」
「ええ、そうです。河原町三条を少し下った本屋さんです。この本屋さんは閉店になるまでよく行きました。確か『こんにちは、ディケンズ先生』に出て来る”Great Expectasions”の洋書もここで購入したと思います」
「ソノコロカラシュッパンノジュンビヲシトッタンヤネ」
「参考にしたのは間違いないです。ぼくはよく外国文学の文庫本の棚の前をうろうろしました。ここが閉店になった次に外国文学の棚の前を行ったり来たりしたのは、四条通にあったジュンク堂でこちらは1988年から2020年まで営業していたようですから、一番うろうろしたかもしれません」
「レコードヤサンハドウヤノ」
「クラシックのレコードを初めて買ったのは、阪急豊津駅近くにある豊津ファミリーの中にあったレコード屋さんで屋号はわかりません。中古レコードを買い漁るようになる前は、堂島のワルツ堂と阪急32番街のDAIGAによく行っていました。中古レコード屋さんはラ・ヴォーチェ(京都)、らるご、ディスク・ガーデン(以上神戸)、スマイル・レコード、名曲堂(以上梅田)によく行きました。一時、ジャズのCDをよく買った時期があって、その時はアメリカ村や難波駅近くのタワーレコードに行きました」
「トウキョウノレコードヤサンモアチコチイッタンヤロ」
「1994年頃にレコードマップという本が出て、それを持って中古レコード屋さん探しをしました。でも最終的に残ったのは、ディスクユニオン新宿店と御茶ノ水店です」
「ホカニアマリイカンカッタケドインショウニノコッテルミセハナイカ」
「三ノ宮センター街地下街にあった中古レコード店は1万円の”This is Anitaを購入したので覚えています。購入して半年もしないうちに阪神淡路大震災が発生しましたから尚のことです。あと、SP盤も取り扱っていて、良質のレコードを売っているストレイト・レコードがありますが、7,000円くらい資金がないと行くだけで終わるかもしれません。その近くのディスクユニオン大阪店はたまに行きますが、やっぱり新宿店ほどいい品がありません。今のところ、新宿店での購入がほとんどです。時には2、3時間粘って購入したレコードが生活を潤し、LPレコードコンサートの開催を可能にしているのですから、良い趣味だったのかなと思います」