プチ小説「いちびりのおっさんのぷち話 おつけものはおいしい編」

わしは幼少の頃から漬物が大好きでよく食べたけどその頃はほとんど塩漬けやった。きゅうり漬けやなす漬もよう食べたが葉物野菜の方が好きやった。白菜漬け、水菜漬け、野沢菜漬けをよう食べたが、中でも壬生菜漬けは大好物で母親もそれを知ってかよく買って食べさせてくれた。わしの場合、壬生菜漬けをそのまま食べるのでは物足りなくて、白菜漬けと同じように七味と醤油を掛けてそれをごはんにかけて食べるのが好きやった(小さい子はマネしないでください)。そのせいか就職試験で高血圧症予備軍と診断されて今に至るわけやが、その食べ方を続けるのはやばいと考えたわしは別の漬物を探すようになった。まず最初は酸っぱい系の漬物やった。ラッキョウ、赤カブ漬け、奈良漬けはその中に入ると思うんやが、これらは値段が高かったり物足りないということであまり食べんようになった。わしが高校生の頃まではキムチはあまり食べられんかったが高校を卒業してしばらくして韓国ブームになってキムチを食べる人が多くなった。それでわしも鶴橋まで出掛けてキムチを買うたりした(当時はスーパーでキムチは売られてなかった気がする)。白菜キムチも壬生菜キムチも美味しくて一度に大量に食べることもあった。これはわしの体質のせいかもしらんが、痔になりよった。それでしばらくはキムチを食べんようになったが、最近のキムチは辛さもニンニクもそこそこやからか痔が酷くなることは余りなくなった(でも油断は禁物や)。キムチはキュウリもダイコンも美味しいからこれからも食べると思うけどそれより美味しい酒のあてがあるから昔のようにキムチばっかり食べて痔になる恐れはなくなったと思う。最近よく食べる酒のあてはウルメイワシと厚揚げを焼いて味の素と醤油をいっぱいかけて食べるのやが、後のは身体に悪いから早くやみつきになるようなあてが見つからんかなと思うとる。船場はこの前浄瑠璃寺境内で壬生菜漬けを販売していたんで久しぶりに食べた言うとったけど、あいつ、わしと同じようにとんがらしと醤油をたっぷりかけて食べたんとちゃうやろか、いっぺん、訊いてみたろ。おーい。船場ーっ、おるかーっ。はいはい、にいさん、私が久しぶりに買った壬生菜漬けをどうして食べたか知りたい、とこういうわけですね。そういうわけや。もちろん唐辛子の粉と醤油をたっぷりかけたのをあったかご飯に乗せて食べるのが壬生菜漬けを一番おいしく食べる方法だと思いますが、これはわたしが高校生から大学生のころまでに病みつきになったのである意味危険な食べ方かもしれません。塩分取りすぎとなるリスクがあります。ほたらどうしたらええ。食べないことが一番ですが、頭の片隅に残っていると、デパートなどで壬生菜漬けを買って帰り、とんがらしと醤油をたっぷりかけてご飯の乗せて食べる恐れがあります。それを回避するためにはなるべく塩分の少ないあてを見つけることですね。ポテチ、チョコレート、チーズ、餃子、あじの南蛮漬け、鶏から、玉子焼きなど酒のあては他にもいろいろあります。まあ白菜漬けや壬生菜漬けを食べんでも生きてられるから、見ないで済むんやったら見んことやな。そうですねぼくは親と別の家に住むようになってから、白菜漬けや壬生菜漬けを食卓で見ることはなくなりました。だから20年以上食べなかったのですが、今回たまたま浄瑠璃寺で販売しているのを見て買ってしまったのです。お前、阿弥陀堂の中で写真を売ってはるおばちゃんと仲ようなったみたいやから、また行こうと思うとるやろ。そうですね、京都経由で行くとわりと早く加茂まで行けるということがわかったので、今度は桜の頃に行ってみようかなと思っています。そうしてまた壬生菜漬けを買う訳やな。いいじゃないですか、今のところ他のところで買うつもりはないのですから。それもそうやな。