プチ小説「クラシック音楽の四方山話 宇宙人編 96」

福居は昨年10月に母親が手術を受けて以来、母親の世話をすることが多くなった。1月10日に老健施設を退所してからは訪問看護、訪問リハ、外来受診付き添い、デイサービス見送りなどがあり、母親一人で対応できるようになるまではしばらく自宅(母親の家は隣にある)にいて、母親の家のチャイムがなると福居が対応しなければならない。本日も訪問看護があったが午前中に対応して、火曜日だったので午後からはクラリネットのレッスンを受けるために家を出た。六叉路の手前で信号を待っているとM29800星雲からやって来た宇宙人が福居に声を掛けた。
「イマカラ、クラリネットノレッスンニイクンヤロ。ワシモキョウトニヨウジガアルカライッショニイコ」
「ああ、谷さん、京都はどんな用事があるんですか」
「コノマエアンタニオシエテモロウタウドンヤサンニイコウカトオモウトル。ソノアトカミシチケンノオセンベイヤサンデショウガセンベイトキヌマキヲコウテカエロウトオモウトル」
「そうなんですね。ところで一度谷さんに尋ねてみたいと思っていることがあるんですが、いま訊いてもいいですか」
「エエヨ、ナンデモキイタッテ」
「谷さんはいつもクラシック音楽について尋ねられますが、ご自宅にオーディオ装置をお持ちなんですか」
「モチロン、サイコウキュウオーディオソウチガアルトイイタイトコロヤガ、SPレコードモキケルオトギバコガアルダケナンヨ」
「でもお伽箱があるんだったら、LPレコード、SPレコード、CD、カセットテープが聞けるから、音に拘らなければ問題はないですね」
「タシカニソウヤケド、ワシモキカイガアッタララックスマントカアキュフェーズノアンプトカ、ヤマハノプレーヤートカ、タンノイノスピーカートカデアナログレコードヲキキタイトオモットルンヨ。ワシガハジメテチキュウニキタトキハナショナルガ「コンポガタッタ」ノCMヲナガシテイルトキヤッタ。ソヤカラコンポニハトテモキョウミガアルノヨ」
「そうですか。ぼくもそのCMを言い間違えないかどきどきして聞いていました」
「サイキンハソンナミンナデウタイタクナルタノシイCMソングガナイノガザンネンヤネ。トコロデツイデヤカラ、アンタガオトノイイレコードヤトオモウノン、10イッテクレン」
「じゃあ、まずは交響曲から行きましょうか。マーラー交響曲第3番 アバド指揮ウィーン・フィル ドヴォルザーク交響曲第8番 ケルテス指揮ロンドン交響楽団 メンデルスゾーン 交響曲第3番「スコットランド」 マーク指揮ロンドン交響楽団 シベリウス交響曲第1番 コリンズ指揮ロンドン交響楽団 ブラームス交響曲第2番 バルビローリ指揮ウィーン・フィル 交響曲は以上です」
「コウキョウキョクガオオインヤネ。アト5ツハナニ」
「グリーグ劇付随音楽「ペール・ギュント」 マリナー指揮アカデミー室内管弦楽団 リムスキー=コルサコフ 交響組曲「シェエラザード」 アンセルメ指揮スイス・ロマンド管弦楽団 以上が管弦楽曲です。室内楽曲と器楽曲はモーツァルト グランパルティータ クレンペラー指揮ロンドン管楽五重奏団他 クレモナの栄光 リッチ他 ブラームス クラリネット・ソナタ ライスター他 でしょうか」
「ワカッタ、イツカソレヲテニイレルワ」
「そうですか、でもどうやって手に入れられるんですか」
「ソラ、アンタトオナジデ、シンジュクノディスクユニオンデカウンヨ。チョビットデモニュウシュデキタラウレシイカラ、ナンドデモイクンヨ。M29800セイウンマデタクハイシテモラウワケニハイカンカラネ」
「そうですね、それに一度にうまくいくと後がつまらないですね」