プチ小説「クラシック音楽の四方山話 宇宙人編 98」
福居は、JEUGIAミュージックサロン四条でのレッスンを終えた後に月に一度は阪急高槻市駅近くにあるヴァスコ・ダ・ガマに行くことにしている。今までは一番安価なビーフカレーを食していたが、一度食べると季節の野菜カレーの美味しさに魅せられ2回に1回は季節の野菜カレーを食べるようになった。ヴァスコ・ダ・ガマのカレーは辛さ3くらいのカレーなので甘いもの好きの福居はいつも店を出る時に涙がこぼれそうになる。河童ラーメンの店の前を通る頃にはようやく涙がおさまったが、丁度その時M29800星雲からやって来た宇宙人が福居に声を掛けた。
「タベルノガツラインヤッタラ、モットアマイノヲタベタラエエントチャウン」
「ああ、谷さん、おっしゃる通りだと思うのですが、辛さの指定が出来ない場合はそれを受け入れるしかないです」
「ソヤケドナァ、エエトシシタオトコガメガシラヲアカクシテナミダヲウカベテカレーテンヲデテクルトイウノハシマリノナイセイカツヲヤットルトオモワレテモショウガナイヨ」
「そうですか、でも、好きなカレーを食べるのを止めろとと言われると困るのですが」
「デモアンタイロイロトオイシイモンヲシットルヤロ。ソレヲクウタラエエガナ」
「美味しいものと言っても。食べたくなったら、京都円山公園内の松本清張さんも通ったと言われるいもぼうに毎月行くわけに行かないですし、ポムの樹のオムライスも高いですし、私の場合、松屋やなか卯の期間限定の美味しい定食や丼を食べるしかないです」
「ソンナニセツヤクシテエエコトガアルンカイナ」
「もらえる年金がちょびっと増えるだけです。でも貯金を切り崩して少し増やしておかないと今の世の中ではお金がなくて行き詰ってしまう気がします。ぱっとしないサラリーマンでしたから、年金が少ないのは我慢しますが、生活が営まれないとなると・・・」
「アンタノバアイ、シュミガタクサンアルカラ、ソレヲスコシガマンシタラヨロシ。ソウシタラ・・・」
「いえいえ、好きな趣味もできていません。クラリネットのレッスンとLPレコードコンサートとホームページは生き甲斐なので、これができないとなると辛いです。写真とレコード鑑賞は息抜きなので、これがないと息が詰まります。それらを続けようと思ったら、衣と食を切り詰めるしかないのです」
「イモキリツメトルノカ」
「ええ、そうですよ。冬物のジャケットは3年間毎日同じのを着ていますし、ズボンは黒のジーンズを毎日同じのを穿いています。カッターシャツは着ずにTシャツ、長袖Tシャツ、毛糸のセーターを着ています。パンツと靴下は穴だらけになっても繕ってはいています」
「サイゴノハウソッポイケド、シガナイセイカツシテイルノハヨクワカッタワ。デモクラシックオンガクヤブンガクノメイサクヲエイヨウニシテガンバリナハレ」
「ありがとうございます。では数少ない楽しみの一つを続けていいですか」
「モチロン、モットカライノヲタベテオミセヲデルトキニムセビナイテモワシハナニモイワンカラ、アンタノスキニシテ」