プチ小説「いちびりのおっさんのぷち話 ピアノ協奏曲はクラシック音楽の花編」

わしが初めて聞いたクラシックのピアノ曲はモーツァルトのトルコ行進曲(ピアノ・ソナタ第11番第3楽章)やと思うが、ベートーヴェンのエリーゼのためにやったかもしれん。小学生の頃にシューベルトの軍隊行進曲を聞いたような気もするけどどうやろか。シューマンのトロイメライやった気もするし、ブラームスのワルツ第15番やったようにも思う。初めて聞いた協奏曲は全部やなかったけんど映画「美しくも短く燃え」のテーマソングのモーツァルトのピアノ協奏曲第21番の第2楽章やった。わしは中学生の頃は映画音楽をよう聞いたんで、この曲を聞いたんやが、ショパンのノクターン作品9-2もええ曲やなと思うたもんやった。船場と知り合ってから、クラシック音楽をぎょうさん聞くようになったけど、わしはひとつのオーケストラにも匹敵すると言われるピアノがオーケストラと共演するピアノ協奏曲が一番好きで、華やかな音楽やと思う。そうはいってもわしはモーツァルトとベートーヴェンのピアノ協奏曲くらいしか知らんから、もうちょびっと知りたいと思うとる。船場は好き嫌いがはげしいから、あいつ古典派とロマン派くらいしか聞かんと思うけど、少しは参考になると思うから、ちょっと訊いてみたろ。おーい、船場ーっ、おるかー。はいはい、にいさんはピアノ協奏曲の名曲に興味をお持ちなんですね。そやけど、お前から教えてもろうた曲を忘れてしもうた。ほんでもう一遍一から教えてほしいんや。わかりました。ではまずモーツァルトから行きます。ええよ、行ったって。第9番「ジュノム」はよく取り上げられますが、ぼくは後期以外のピアノ協奏曲では盲目の女流ピアニストパラディスのために作曲されたと言われる第18番の方が好きです。では後期のピアノ協奏曲に移りますが、私も最初に興味を持ったのは第21番です。そうして映画「アマデウス」で使われた第20番でしょうか。そうして天国的な調べで歌曲「春の想い」のメロディが第3楽章に使われている第27番とモーツァルトの音楽とは思えない感情の起伏に富んだ第24番はいずれも心に沁みる名曲です。第23番はケンプの演奏で聞きましたが、心地よい音楽で好きになりました。第22番、第25番、第26番は今まであまり聞かなかったのですが、聞き込めば好きになると思って名盤を探しています。モーツァルトにえらい長い時間がかかったけど、他はどうなんや。次はやはりベートーヴェンになりますが、ベートーヴェンはモーツァルトのこじんまりした感じのピアノ協奏曲をダイナミックで劇的なものに変えました。モーツァルトの影響が見られる第2番をぼくは聞きませんが、1、3、4、5はいずれもすばらしい曲です。ほんで次はロマン派に移るんやね。そうですね、その前に一つだけないものねだりをさせてください。ええよ、言ったって。シューベルトにピアノ協奏曲がないのがとても残念なのです。モーツァルトは宮廷のオーケストラと共演出来て、たくさんのピアノ協奏曲が産み出せたのだと思いますが、シューベルトはひとり孤独にピアノ曲、オーケストラ曲、歌曲を作曲したのですが、協奏曲にまで手が回らなかったのがとても残念に思うのです。ショパンの2曲はショパンがオーケストラの部分を自分で書いたのか疑問が残るのでここには入れませんが、ロマン派ではまずシューマンのピアノ協奏曲がすばらしいと思います。愛妻のために精魂込めて書かれた心に沁みる名曲です。私はこの曲をリパッティの演奏で聞いてもっとピアノ協奏曲聞きたいと思ったものでした。それでその次はそのお弟子さんのブラームスやね。ブラームスは第2番はピアノが加わった交響曲のような曲と言われていて私も大好きなのですが、第1番は若い頃の佳作という感じです。次はフランスやろ。いいえ、私はサン=サーンスやラヴェルのピアノ協奏曲の良さがわからないのです。ほたらロシアになるんやね。そうですね、チャイコフスキーの第1番とラフマニノフの第2番と第3番が名曲と言われていますが、チャイコフスキーの第1番は第1楽章が物凄く盛り上がるのに第3楽章があっけなく終わるので、いつも物足りなく感じています。ベートーヴェンの第4番や第5番のような終わり方になぜしなかったのかなと思います。まあそれもお前のないものねだりやと思うよ。チャイコフスキーさんはそれがベストやと思うたからそうしたんとちゃう。それもそうですね。