プチ小説「いちびりのおっさんのぷち話 器楽曲はピアノ曲と弦楽器の独奏がほとんど編」
わしは船場からクラシック音楽のいろんなおもろい話を聞いて、わしもプレミアム盤を買うてみたろと思うて、今から30年前に神戸の中古レコード店に行ったんやった。そこで買うたのが、ベートヴェンの「熱情」をニコライ・メトネルが弾いたのとショパンの幻想即興曲、マズルカなどをハリーナ・ステファンスカが弾いたのが一枚になったレコードやった。これを船場に見せたら、船場は、兄さんはピアノ曲の2大作曲家の楽曲が1枚になっているレコードを買わはったんですね。とても珍しいレコードですねと言いよった。それからしばらくして、シェリングのバッハの無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータを買うて見せたら、器楽曲の名盤なので第2番のパルティータを聞くだけやったらもったいないから、6曲全部を聞いて下さいと言うとった。ほんでカザルスの無伴奏チェロ組曲を買うたときも第1番だけ聞いて後は聞かないということがないようにしてくださいねちゅーとった。わしは全曲繰り返し聞くつもりやったけど、船場と同じように、シャコンヌと無伴奏チェロ組曲第1番の最初のところだけ聞く人が多いみたいや。わしもそうしよ。船場はピアノの独奏曲はシューベルトやシューマンにもええ曲があるんですよ、弦楽器の独奏はバッハだけやないんですよと言うとったから、他にどんな曲があるか訊いたろ。おーい、船場ーっ、おるかーっ。はいはい、にいさんがおっしゃるようにバッハの弦楽器の独奏曲、ベートーヴェンとショパンのピアノ独奏曲以外にも興味深い曲があるので、まずはピアノ独奏曲の方から順番に説明させてください。ええよ。ベートーヴェンのピアノ・ソナタは全部で32曲あって、生涯途切れることなくコンスタントに作曲されたのですが、もちろん全部聞く必要はないと思います。初期はベネデッティ=ミケランジェリの演奏で有名な第4番と第8番「悲愴」くらいでしょうか。第12番「葬送行進曲」はタイトルが暗いですが、終楽章は盛り上がって勇気づけてくれる気がするので、リヒテルの演奏で聞いてほしいです。「熱情」とカップリングされていますから。第14番「月光」は月の光が射す情景を描いたとも言われますが、第15番「田園」も温かな陽ざしの中で田園を歩いている気持ちにさせる安らぎに満ちた曲です。第17番「テンペスト」は多分、シェイクスピアのテンペストに霊感を得て作曲されたのだと思いますが、ケンプの演奏がすばらしいです。同レコードに一緒に入っている第26番「告別」もすばらしいです。遡りますが、第22番「ワルトシュタイン」、第23番「熱情」はどちらも充実した内容の曲です。そうして最後のピアノ・ソナタ第32番はグルダ、ベネデッティ=ミケランジェリなどが名盤を残しています。一方ショパンはバラード、スケルツォ、前奏曲集、練習曲集、ノクターン集、マズルカ集、ワルツ集、ポロネーズ集などの曲があり、ベートーヴェンとは違ったピアノ曲を楽しませてくれます。モーツァルトはピアノ・ソナタが有名ですが、シューベルトは晩年の3つのピアノ・ソナタの他に即興曲集、幻想曲「さすらい人」などの名曲があります。シューマンもたくさんのピアノ曲を作曲していますが、「子供の情景」「謝肉祭」「クライスレリアーナ」あたりが聞きやすいと思います。フランスの作曲家ドビュッシーとラヴェルもたくさんのピアノ独奏曲を作曲していますが、ここではドビュッシーの前奏曲集第1巻だけを紹介しておきます。次は弦楽器の独奏やな。その前にバッハのチェンバロ曲、オルガン曲があります。オルガン曲はあまりにたくさんあるので、やはりトッカータとフーガニ短調とフーガト短調になると思います。チェンバロ曲は平均律クラヴィーア曲集の他にゴールドベルク変奏曲がありますが、この曲はピアノで演奏したグールドの演奏が一番だと思います。弦楽曲はバッハの無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータと無伴奏チェロ組曲の他には、コダーイの無伴奏チェロ・ソナタくらいのようです。この曲の名演奏はピリオド・レーベルで録音したヤーノシュ・シュタルケル盤ですが、一聴の価値のあるものすごい演奏です。