プチ小説「クラシック音楽の四方山話 宇宙人編 99」
福居は3ヶ月から6ヶ月に一度京都府立植物園を訪れているが、紅梅白梅の頃に梅林に行ったことはなかった。梅の花はやはり北野天満宮でと思い、他の梅林を訪れることはなかった。北野天満宮の梅苑は今までに5回訪れたことがある。いつものように地下鉄北山駅で下車して京都府立植物園に向う地下道を歩いているとM29800星雲からやって来た宇宙人が京都市交響楽団のポスターの前で腕組みをしていた。宇宙人は、ドヴォルザークのチェロ協奏曲してくれたら、行くのになあと言っていた。福居が、谷さん、おはようございますと言うと、今から府立植物園の梅林に行くんやろと言ったので一緒に行くことにした。
「谷さんは、京都市交響楽団の公演に行かれたことがあるのですか」
「イチドダケキョウトコンサートホールダイホールニイッタコトガアルケド、ダレガナニヲヤッタカワスレタワ。アンタハアンサンブルホールムラタ(ショウホール)ノブタイニタッタコトガアルンヤロ」
「ええ、今からちょうど10年前にクラリネットの発表会が小ホールで開催されて、私たちは6人でチャイコフスキーのアンダンテ・カンタービレを4部合奏でしました。最初のところで唇が震えて上手く演奏できなかった苦い経験があります。それまで一緒にして来たメンバーの最後の演奏だったので、良かったと言えるような演奏をしたかったのですが、残念な思い出になってしまいました」
「ソウカ、ソレハザンネンヤッタネ。デモアンタハウマクイクノハマレヤカラ、シャーナイントチャウ」
「そうですね、そう思えば早く立ち直れますね」
「トコロデ、キョウハバイリンヲミルンヤロ。ワシハコウバイモハクバイモモモバイモスキヤケド、ロウバイモスキヤネン」
「ももばいはピンク色の梅のことですね。ろうばいは蝋梅のことですね。香りが良いと言われていますね」
「ワシハニオイヨリ、アノロウデコサエタヨウナハナガスキヤネン。アマリコマカクワケラレテヘンケド、キットイロンナシュルイガアルトオモウヨ。タネニドクガアルミタイヤカラタベナイホウガイイミタイヤ」
「そうなんですね。ぼくも蝋細工のようなのと違う種類の蝋梅を見たことがあります。北野天満宮の梅苑もいいですが、ここもいいですね。そろそろ温室に行きましょうか」
「オンシツハイロンナハナガアルカラタノシイネ」
「そうです。屋外は梅が咲き始める前まではほとんど花がないので、温室だけが楽しみです。一年中、何かの花が楽しめます。サギソウ、ワスレナグサ、マツムシソウ、ザゼンソウも見ましたし、熱帯の花、サボテン、蘭なんかも楽しめますから、ここに来れば数枚はいい写真が撮れます。ザゼンソウは滋賀県高島まで行かなくてもいい写真が撮れました」
「コウザンショクブツモミラレルカラネ。コマクサモミラレルミタイヨ」
「そうなんですね、今年は駒草を撮りたいですね。7年間槍・穂高登山をしましたが、駒草を見られなかったことが心残りなんです」
「マア、ソウカンガエルト、カナワナカッタコトモホカノトコロデカナウコトガアルトイウコトヤネ。ジャンダルムニノボレヘンカッタカラベツノトコロニノボルトカ」
「ベストの時より15キロ以上体重が増えているので、山登りは無理です。今の体調だと武奈ヶ岳に登ると2、3日は動けないでしょう」
「ソウナンヤ、トコロデザゼンソウノヨウナユニークナクラシックノキョクハナイカナ」
「ザゼンソウですか。コダーイの無伴奏チェロ・ソナタはそんなイメージがあります。シュタルケルの演奏がお勧めです」
「キイテミルワ」
