プチ小説「クラシック音楽の四方山話 宇宙人編 105」
福居は、4月になると西側広場で学食のお弁当が食べられるので待ち遠しかった。633円なので松屋の朝食と比べると少し高いが、8種類の中から好きなものが選べるし味が良かった。最近、福居は母親の付き添いや訪問してくれる看護師、理学療法士の対応に忙しく週に2,3回しか大学図書館に行けなくなったが、大学図書館に行けば内容の濃い時間を過ごしたいという気持ちになるし、通学の時の学生と一緒の電車に乗ること、サラーリーマンの気持ちを持続できること、学生が行き交う西側広場で食事できることも貴重な時間だと思っている。阪急電車での通学、西側広場で学食の弁当を食べること、ホーリーズカフェでコーヒーかココアを飲むことを週に3回くらい続けていれば70才を過ぎても学生気分が持続できると甘い考えを持っていた。福居が味噌カツ弁当を購入して藤棚の下のテーブルにつくとM29800星雲からやって来た宇宙人が向かいの席に座ってチキン南蛮弁当を食べ始めた。
「やあ、谷さん、お久しぶりです」
「ソレヲイウナラ、ココデアウノハヒサシブリヤネトチャウン。アンタトハホカノトコロデ、ショッチュウアットルカラネ」
「そうですね。でもここで谷さんと会うと別のところで会うのとでは違う気がします。昔はT.P.O.(TIME(時間)、PLCE(場所)、OCCASION(場面))という少し固い言葉がありましたが、ぼくはシチュエーションの方が使いやすいと思っています」
「アンタガソンナコトヲイウトワシガショウセツノトウジョウジンブツニナッタミタイヤ。ワシハタダノトオリスガリノウチュウジンヤノニ」
「その割にはよく登場されると思います」
「ソンナツヨガリイッテモ、ワシハワカットルヨ。ダイガクノコロノトモダチトハホトンドレンラクガツカナイシ。シャカイジンニナッテカラノトモダチハミナシゴトデイソガシイカラメールヲオクルノモチュウチョシテシマウ。シゴトヲヤメテモウスコシシタラ4ネンニナルカラトオイムカシノハナシヤ。セメテノタノシミハショウセツニNセンセイヤイチビリサンヤワシヲトウジョウサセルクライヤ」
「うーん、そう言われると身も蓋もないのですが、おっしゃる通りだと思います。でもそういう楽しみを与えてくださるぼくのプチ小説の登場人物の方々には本当に感謝しているのです。たこちゃんこと鼻田さん、「青春の光」の橋本さんと田中君とは最近ご無沙汰していますが、これからもずっとおつき合いは続くと思います」
「ダブン、アンタハアキヤスイカラ、ワシモユダンシタラタナカクンタチトオナジヨウニソエンニナルカモシラン。ホンデ、オモウタンヤケド、ワシ、コノママデモエエヤロカ」
「たまにあっと驚くようなことをしていただけると有難いですが、今のままでも充分です。クラシック音楽の四方山話ですから、何かクラシック音楽の質問をしていただけると谷さんのキャラとクラシックの質問だけでこのプチ小説が成り立ちますから」
「ホタラ、ソノシツモノヲスルワネ。アンタガコレキイタラクラシックガスキニナルヨトオモウレコードガアッタラ、ユウテクレヘン」
「ぼくが腰を入れてクラシック音楽を聞くようになったのは浪人生になってからです。それまでは日本のフォークや外国のイージーリスニングを聞いていました。高校生の時に夢中になったクラシックの曲は冨田勲さんの「惑星」「展覧会の絵」「火の鳥」などです。そうしてクラシック音楽のレコードで一番面白いと思っているレコードはモーリス・アンドレがトランペットでクラシックのオペラのアリアを演奏したものです。アンドレのアルバムはメロディが美しいオペラのアリアを演奏したものでクラシックに興味がある人にお勧めしたいのですが、とにかくメロディが美しい曲を聞いて、これいいなと思うのが大切だと思います。口ずさめるメロディそれこそがその曲が好きになる切っ掛けだと思います。そうしてそれを掴んだら、ハーモニーが美しいとか、リズムが楽しいとかいう音楽を聞いて行けばいいと思います。モーツァルト、ベートーヴェン、シューベルト、ショパン、チャイコフスキーや大作曲家のメロディの美しいと言われるいろんな演奏形態の曲を20~30曲聞けば、クラシック音楽が好きになると思います。今はYOU TUBEでいろんな演奏で聞くことができるので、そんなに苦労せずに大作曲家が精魂込めて作曲した曲を身近なものに出来ます。その際には口ずさめるメロディがある曲を選んでください」
「ヨーシ、ワカッタ。デモソノマエニアンドレオジサンヲキイテミルワ」