プチ小説「クラシック音楽の四方山話 宇宙人編 106」
福居は、中高生の頃は映画館巡りで、高校生から浪人の頃は大型書店巡りで、浪人生から大学生はレコード店巡りで梅田界隈を徘徊していたが、社会人になってからは神戸や京都の書店やレコード店に行くことが多くなった。阪神淡路大震災があった数年前からは神戸の中古レコード店によく行ったものだった。特に三ノ宮駅の近くの地下にある名曲堂には何度か足を運んだことを覚えている。名曲堂は地震の被害が甚大で再開は叶わなかったが、神戸にあるディスクガーデンやらるごに通い詰めた。震災後は梅田の阪急東通り商店街にある名曲堂やスマイルレコーズにもよく行くようになった。しかし数年後仕事が厳しくなってレコードを購入する余裕はなくなり(そういう気分ではなくなった)、レコード店にはしばらく行かなかった。幸運にも数年して仕事で落ち込むことがなくなって再び好きなことを再開しようと思い、読書と中古盤漁りを再開した。その頃になるとしばしば東京に行ったので、古書は神田の古書街、中古盤は新宿や御茶ノ水のディスクユニオンで購入するのがほとんどだった。福居はラーメンたろうのたろちゃんラーメンを久しぶりに食べたくなったので、神戸に行くことにした。阪急三ノ宮駅で下車してたろうでたろちゃんラーメンを食べてからJR元町駅近くにあるディスクガーデンの方へと歩いていると、後ろからコノヘンニウマイミセガアルンカと声がした。
「ああ、谷さん、谷さんも神戸によく来られるんですか」
「ウン、ワシモタロチャンラーメンガスキヤカラネ。2ネンニイチドハタベニクルンヨ」
「他に用事はないんですか」
「ウーン、ワシハナイケド、アンタハムカシカラヨクココニキテタンヤロ」
「ええ、でもぼくの場合、神戸に来るのはもっばら中古レコードを買うためです。一番最初はディスクガーデンでしたが、その後はらるごばかりでした。らるごが走水神社の近くにあった頃は月に1回は行っていました」
「ソノトキハラルゴデSPレコードモウッテイテ、アンタハキョウミヲモッタンヤロ」
「らるごに月に1度SPレコードの愛好家が集まってSPレコードの鑑賞会があったんです。なんでらるごでSPレコードの鑑賞会があったかと言うと、店主がビクターのクレデンザを持っていて再生できたからです。でもSPレコードは片面5分くらいのものが多く、しょっちゅう針を上げたり下げたりしなければなりません。ワインガルトナー指揮の幻想交響曲では10回ほどそれをしていました。これでは演奏に没入できないなと思いました」
「デモチクオンキハカワンカッタケド、デンチクハカッタンヤロ」
「蓄音器は一面掛けるごとに針交換をしなければなりません、それに部品が壊れたら自分で修理しないといけません。電蓄ならSPレコードを何度も聞けますし針交換も簡単です。それになにより安価です。購入した一番の理由は、映画「火垂るの墓」で掛る、アメリータ・ガリ=クルチのはにゅうの宿を自宅で聞きたかったからです。クライスラーもいくつか購入しました。SPレコードも聞ける電蓄コロンビアのお伽箱を購入しましたが、ターンテーブルが回らなくなったので、今は携帯型のSPレコードが聞けるポータブルプレーヤーでSPレコードを聞いています。1枚3~5千円したので、もう少しいいプレーヤーで聞きたいと思っています」
「クレデンザハメイキョクキッサヴィオロンニモアルンヤネ」
「ええ、それを使って定期的にSPレコードコンサートを定期的にされています」
「ホンデ、オトハドウナンヤ」
「もちろん、ヴィオロンでアナログレコードを聞く時のすばらしい音ではありませんが、SPレコードも懐かしい音がして盤質にもよりますが、生演奏にも匹敵する良い音が聞ける場合があります。これはアナログ盤にも言えることですが、演奏の質、録音の質、盤質の3つが揃って安心して聞けるのですが、3つが揃ったものにはなかなか行き当たりません」
「アンタハコウベデアナログレコードヤSPレコードヲカワンノカ」
「らるごさんには25年以上行っていませんし、ディスクガーデンはなかなか買いたいレコードが見つかりません。たろちゃんラーメンを食べた後でディスクガーデンに行きますが購入することは稀です。むしろその近くのハックルベリーレコードでクラシック以外のレコードかCDを購入することが多いです」
「タマニハクラシックノレコードヲカッテアゲタラエエントチャウ」