心が熱くなる名盤2(チャイコフスキー 交響曲第5番)

私がレオポルド・ストコフスキーに興味を持つようになったのは映画「オーケストラの少女」を見てからでした。この映画の大まかなあらすじはディアナ・ダービン演じるヒロインの父親(トロンボーン奏者)が不況で失業ししかも楽団員全員だったので、ヒロインが大指揮者ストコフスキーに楽団ごと雇ってもらうよう頼みに行くという荒唐無稽でオーケストラ関係の仕事に携わっている人が見れば怒りを買いかねないストーリーなのですが、私はいくつかの印象に残るシーンがあるので大好きな映画です。1.ストコフスキーがワーグナーのローエングリン第3幕への前奏曲の練習をしているところにヒロインが羽飾りの帽子を被って忍び込むところ 2.ヒロインがストコフスキーの前でモーツァルトのアレルヤを歌いストコフスキーが思わずその伴奏の指揮をしてしまうところ 3.ストコフスキーが滞在するホテルにヒロインと楽団員が押しかけ突然リストのハンガリー狂詩曲第2番を演奏し始め、それに合わせてストコフスキーが取りつかれたように(すみません、どうしてもそう思えるのです)指揮を始めてしまうところ この3つの場面にはストコフスキーとヒロインが登場して、ストコフスキーの温かい人柄が感じられ、しかも名曲の名演奏が聞けるところが共通しています。またこの交響曲最後のところがこの映画の冒頭でストコフスキーの指揮で演奏され、映画の最後ではヒロインがヴェルディの歌劇「椿姫」のアリアを歌いますがその後に交響曲第5番第4楽章のテーマが少し流れて終わります。ストコフスキーはいくつかの名演奏を残しているのですが、チャイコフスキーの交響曲第5番の名盤と言えばこのストコフスキー指揮ニュー・フィルハーモニア管弦楽団のこの演奏が一番だと私は思います。それは自分が好んで何度も演奏会で取り上げた(録音も3回しています)ので、演奏に磨きが掛けられたからだと思います。私もこのレコードのアンダンテ・カンタービレの第2楽章の甘い美しい旋律、第4楽章の何度も挑戦して栄光をつかみ取るような旋律に何度も力付けられました。チャイコフスキーがこの曲を初演した時は五人組のキュイの酷評があったためロシアではこの音楽があまり良い評価が得られませんでしたが、ニキシュが演奏会で頻繁にこの曲を取り上げ好評を博しました。そうしてストコフスキーもこの曲を演奏会で頻繁に指揮するようになり、映画に演奏シーンを取り入れ、レコードも名盤を残しました。ストコフスキーは生涯この曲に愛着を持って演奏し続けたのでした。

 レオポルド・ストコフスキー指揮ニュー・フィルハーモニア管弦楽団 チャイコフスキー 交響曲第5番第1楽章

 レオポルド・ストコフスキー指揮ニュー・フィルハーモニア管弦楽団 チャイコフスキー 交響曲第5番第2楽章

 レオポルド・ストコフスキー指揮ニュー・フィルハーモニア管弦楽団 チャイコフスキー 交響曲第5番第3楽章

 レオポルド・ストコフスキー指揮ニュー・フィルハーモニア管弦楽団 チャイコフスキー 交響曲第5番第4楽章