プチ小説「クラシック音楽の四方山話 宇宙人編 109」

福居は半年に一度は千本中立売のバス停近くにある坊歩ラーメンに行きたくなる。炒飯と鳥の唐揚が美味しいからだが、大学図書館からそこまで歩くと45分ほどかかり、午後4時には一旦閉店になるので夕食が早くなりすぎてしまう。それでもラーメンも4種類あって美味しいのでたまに行ってみたくなる。今日は五月晴れで気温もそれほど上がっていないので、坊歩ラーメンまで歩いて、食べてから四条大宮駅まで歩くことにした(結局午後3時に大学図書館を出て、5時前に四条大宮駅に着いた)。北野天満宮の鳥居の前を歩いていると、M29800星雲からやって来た宇宙人が福居に声を掛けた。
「オオキナトリイガアルケド、ユウメイナジンジャナノ」
「ええ、ここは受験の神様なのでお世話になりました。それから大晦日の夜から元日にかけて京都市内の5つの神社をめぐるのですが、その最初の神社です」
「ナンカイクライオオミソカニココニキタン」
「そうですね、20回以上は来ていると思います」
「ホンデ、ゴリヤクハアッタンカイナ」
「何とか大学に入れて4年で卒業して、就職できて37年間そこで働けたのは御利益があったからだと思います。拠り所があるのは有難いことです。ぼくは高校時代、部活(写真部)はそれなりに頑張ったつもりですが、勉強に興味が持てず知的な活動をなおざりにしていました。これは自分のことを棚に上げて言うのですが、もし知的好奇心を持たせてくれる友人か先生がいたらそれの研究で頑張っていたのかもしれませんが、結局大学卒業してからになりすべて趣味の範囲を超えていません。登山、写真、音楽鑑賞、読書、語学、楽器演奏どれも楽しんではいますが、尊敬されるようなものではありません」
「デモイッショウソレバッカリトイウノハアキッポイアンタニハムイテイナイトオモウケドナァ」
「そうでしょうか、客観的に見るとそうなのかなあ。でも一つのことをやり通すというのは自分が志した好きなことを一生やれるわけですから羨ましいです」
「ソンナンユウケド、アンタモスキナコトヲヨウサンシトルントチャウン。ケンショウショウセツオウボ、クラリネット、ドクショ。シゴトヲヤメテカラハソレバッタカリヤットルンヤカラ、ダレモガウラヤムマイニチヲスゴシテイルトワシハオモウヨ」
「でも成果が出ていません。それに仕事をしていませんから生活が苦しいです」
「ソレハタノシイコトガソコラジュウニブラサガットッタラ、ショウセツヲカイタリホンヲヨンダリセンノトチャウノカナァ」
「そうかもしれません。成果が上がらないのも中途半端にやっているからかもしれません」
「デモオカアサンノツキソイデビョウインニイッタリ、ジッカデホウモンカイゴヤホウモンリハビリノタイオウシタリ、オカアサンノイロイロナテツヅキヲシタリシテタラ、ショウセツヲズットカイテイルノハムリヤ。ショウセツハジカンガアルトキニカイタラエエガナ。ズットパソコンニタイジシテブンショウヲシボリダスヨリスンナリエエブンショウガデテクルカモシレヘンカラ、ソウヤッテガンバリナハレ。トコロデ、ワシ、クライスラーガスキナンヤケド、ドノレコードガエエノン」
「ぼくは自作自演の他にパールマン、フランチェスカッティ、カンポーリ、シェリング、オレフスキー、エルマンのアナログの他にボベスコ、シトコヴェツキ―のCDも持っていますが、よく聞くのは自作自演、パールマン、フランチェスカッティでしょうか。自作自演はCDも持っていてどちらもよく聞きます」
「ジサクジエンガエエノカ。デモロクオンガフルイカラオトガワルイノトチャウノ」
「雑音が多かったり音の線が細すぎるということはありません。1950年代以降のようないい音は難しいかもしれませんが、それなりに聞ける音です。ぼくは新しいレコードでも演奏内容が劣るというのより、少し録音が古くても演奏内容が良ければそちらを取ります。フランチェスカッティのクライスラーは入手しにくいようなので、パールマンかクライスラーの自作自演がいいと思います」
「ホタラ、クライスラー、イッペンキイテミヨカ」