プチ小説「クラシック音楽の四方山話 宇宙人編 112」

福居は毎年小澤一雄氏の個展に訪れているが、今年も個展の初日に行くことにした。昨年は個展に行った後に昼食を食べて名曲喫茶ライオンに着くのが遅くなり、リクエストを掛けてもらうのがとても遅くなった。それで今年は品川で下車してスパイスファクトリーでキーマとチキンの合掛けカレーを食べてから個展に行くことにした。入口でチケットを買っているとM29800星雲からやって来た宇宙人が福居に声を掛けた。
「ココハナニガウマインヤ」
「ああ、谷さん、ぼくはいつもキーマとチキンの合掛けカレーを頼むのです。他のチェーン店ではココナッツカレーやイカ墨カレーもあるようなので食べたいのですが」
「ソウナンヤ、デモアンタノバアイトウキョウニタイザイシテイルジカンハキチョウヤカラ、エキカラトオカッタラムリヤロ。ワシモオナジノヲタベルワ」
「おっしゃる通りです。最近は東京のどこに行っても今までの2倍の人出なので、渋谷駅から名曲喫茶ライオンまで歩くのも大変です。特にハチ公前のスクランブル交差点はいつもまっすぐ進めるか不安になります。道玄坂も人だらけなので、百軒店商店街に入るとホッとします」
「シブヤハヒトガオオイカラネ。ディスクユニオンノアルシンジュクハマダマシヤロ」
「そうですね、渋谷よりは少ないですが、ぼくがよく行く、新宿、浅草、上野はインバウンドの人が多いからどこも混んでいます。ぼくが初めて東京に来た今から30年程前、朝のラッシュの時間帯に新宿から大塚まで山手線に乗ったのですが、死ぬかと思いました。それ以来ラッシュアワーや物凄い人ごみを避けて来ました。それでも今から、7、8年前にハロウィンの日の夕方に渋谷のビッグカメラに行く用事が出来、行かざるを得なくなったのですが、人の流れが物凄くてビッグカメラに辿り着くまで時間が物凄くかかりました。それでも帰りは混雑しないところを通って駅まで行ったのでおしくらまんじゅうはしないですみました。毎日ラッシュアワーの電車で通勤している人は何かコツを掴んでいるのじゃないでしょうか。じゃないとまともにあの圧力を一度体験すると恐怖感で二度と行きたくないと思うのではないでしょうか」
「ワシハコガタノウチュウセンデイドウスルカラ、ソウイウケイケンハナイケドネ」
「でも谷さんの宇宙船を見たという話を聞いたことがありません。なぜでしょうか」
「フタツノホウホウガアッテ、チイサクナルコト、イジゲンヲトブコトガアル。コマカイコトハキカナイデネ」
「ええ、もちろん。ぼくの理解力もありますし」
「トコロデコレカラドウスルノ」
「小澤氏の個展に行った後は、名曲喫茶ライオンに行き持ち込みレコードを掛けてもらいます。後はディスクユニオンに行って中古盤漁りをします。時間があれば久しぶりに神田の古書街に行きたいところですが、特に買いたい本がないし富士レコードに行くとSP盤を買いたくなるし行かないでしょう」
「ホタラ、ゴゴ6ジマエニキハンスルコトモアルンヤネ」
「今は何が起きるかわからない時代です。目的地での用事が終わったらよそ見をしないで帰る方がいいでしょう。思い掛けない楽しい出会いがあっても、安全なところでないと落ち着いていられないでしょう」
「オチツイテハナシガデキルトコロヤ、スキナコトニボットウデキルトコロガアタラシクミツカルトイイネ」