プチ小説「クラシック音楽の四方山話 宇宙人編 113」

福居はいつもLPレコードコンサートが終わると、午後3時30分までには名曲喫茶ヴィオロンを出て名曲喫茶ライオンに向かうことにしていた。運が良ければ持ち込みレコードをかけてもらえるからだ。しかし最近はリクエストをする人が多くなり福居は帰阪のため東京駅午後6時発の新幹線に品川駅から乗るために午後5時20分までには名曲喫茶ライオンを出なければならなかったので、リクエストをしても全曲を掛けてもらえないこともあった。クラシックの名曲の名盤は40分から50分くらいの曲が多かった。今日、ディスクユニオン新宿店で購入したのも、モーツァルト/グランパルティータ マリナー指揮アカデミー室内管弦楽団 ブラームス/交響曲第1番 ケルテス指揮ウィーン・フィル サン=サーンス/交響曲第3番「オルガン付き」 マルティノン指揮フランス国立管弦楽団 シベリウス/交響曲第1番 オーマンディ指揮フィラデルフィア管弦楽団 ビゼー/交響曲 アンセルメ指揮スイス・ロマンド管弦楽団だから難しいかななどと考えながら渋谷駅前のスクランブル交差点を渡っているとM29800星雲からやって来た宇宙人が福居に声を掛けた。
「アンタ、イマカラメイキョクキッサライオンニイクンヤロ。ワシモイッショニイッテエエカ」
「勿論、一緒に行きましょう。でもどれを掛けてもらおうか迷っているんです。持参したレコードはシベリウスの交響曲のレコードばかりで、それに今日名曲喫茶ヴィオロンで聞いたのをまた聞くのももったいない気がします」
「キョウ、コウニュウシタレコードハナニガアルノン」
福居は今日購入したレコードを説明した。
「フーン、カケラレルノハビゼーノコウキョウキョククライトチャウンカナ。アンタハキョクゼンブキカントキガスマンミタイヤカラ」
「そうですね、じゃあ、ビゼーにしようかな。ところで谷さんは他にどこか行かれるのですか」
「ワシハアンタノイッタトコロヲタドッテタノシミヲミツケトルンヤガ、コノアトハカンダノフジレコードシャデSPレコードヲカオウカナトオモットル。ウタデハガリ=クルチノハニュウノヤドヤニワノチグサ。ヴァイオリンデハクライスラーヤエルマンノエエノンガナイカナトオモットル。デンチクヲコノマエカッタカラネ」
「そうなんですね、他にもたどるのがありますか」
「アンタハイットキオチャノミズエキチカクヲウロウロシトッタヤロ。ムカシフウコウショボウガアッタカラネ。ソノトキハオチャノミズノディスクユニオンニヨクイットッタヤロ」
「風光書房だけでなく、小宮山書店にもよく行きました。小宮山書店では、ダルタニャン物語全巻やツヴァイク全集全巻を購入しました。今読んでいる『千一夜物語』全13巻は神田古書街の別の古書店で買いました。30年前にエチオピアカレー店の上にあったパパゲーノで中古レコードを買いました。そう言えば、最近は時間がないので、お茶の水駅で下車することがなくなりました。洋食カロリーが日曜日に営業しなくなったというのも大きな理由です」
「ヨウショクカロリーニオイシイモノガアルンカ」
福居はからあげ定食にトッピングハンバーグ2つのせがおいしいと説明した。
「フーン、カラアゲテイショクハザラニアルケド、ハンバーグノトッピングハメズラシイネ。ワシモイッペンイッテミルワ」
福居は名曲喫茶ライオンの店員さんが、ビゼーの交響曲、良かったですと言ったので、M29800星雲からやって来た宇宙人に礼を言った。
「タマタマ30フンクライノキョクガソレシカナカッタカラネ。ツギカラハ20フンクライノカケテホシイレコードヲモッテキタラエエントチャウ」
「確かに谷さんが言われる通りなんですが、やはり40分から50分位の曲を聞かないと物足りないんです」
「ベートーヴェンノゲッコウヲキイテ、マンゾクシテカエルトイウワケニイカンノヤネ」
「その通りです」