プチ小説「こんにちは、N先生127」
私は今年の夏も猛暑日が続き資金がほとんどないので、8月8日の茨木弁天の花火大会と8月16日の京都五山の送り火を撮影することだけが楽しみなのですが、昨年のように突然ゲリラ豪雨が襲って来るようでは撮影は困難かなと思っています。昨年は茨木弁天の花火大会の撮影に出掛けようとすると豪雨が降り出し、五山の送り火の鳥居形を撮ろうと阪急嵐山駅まで行くと突然豪雨が降り出し1時間待っても豪雨が止まず諦めて帰宅したのでした。
<今年は茨木辯天の花火大会は阪急総持寺駅近くの堤防に上がって撮影ポイントを探そうかな、それから五山の送り火はもう一度鳥居形を狙いたいな>
そんなことを考えながら、阪急高槻駅からJR高槻駅に向っていると後ろから、昨日京都の最高気温は39.7度だったけど今日はどうだったのかなと声がしました。後ろを見るとN先生が微笑んでこちらを見られていました。
「ああ、N先生。昨日は酷暑日を体験できるかと思って、大学図書館に行ったのですが40度までは行きませんでした。今年は無理かもしれませんが、近いうちに京都市内でも酷暑日を記録するんじゃないでしょうか。ゲリラ豪雨も京都ではないだろうと思っていたところ、10年程前に嵐山が水浸しになったことがありました。今月は豪雨で賀茂川の水位がかなり上がりました。大阪ではここのところ毎晩最低気温が29度以上です。もしエアコンが故障して夜間冷房が使えないとどうなるのか心配です」
「今から8月上旬までがピークだと思うが・・・。ところで君は今、ヘロドトスの『歴史』を読んでいるんだろ」
「ええ、読んでいますが、松平千秋訳(岩波文庫)ではなく、青木巌訳(創元文庫)を読んでいます。昭和28年に出版されたもので、後に新潮社から再出版されたものです」
「なぜ松平訳を読まないのかな」
「以前、クセノポン『アナバシス』が読みにくかったことがあり松平訳以外でヘロドトスの『歴史』を読みたいと思っていました」
「どこまで読んだのかな」
「この本は上巻(第1巻、第2巻)、中巻(第3巻、第4巻、第5巻、第6巻)、下巻(第7巻、第8巻、第9巻)となっていて、上巻を読み終えたところです。第1巻はリディア(クロイソス)、メディアというアケメネス朝ペルシャと対抗していた国のことが書かれてあり歴史書らしかったのですが、第2巻に入るとワニやミイラやピラミッドのことが書かれてあって、面白い本だなと思いました。エジプトのことが書かれてあって、エジプト王アマシスはかなり変わった人物のようです」
「アケメネス朝ペルシャのカンビュセス王はその上を行くと思う」
「今、丁度カンビュセス王の生涯のところを読んでいます」
「君はまだ全部読み終えていないが、印象はどうかな」
「私は当時繁栄していたアケメネス朝ペルシアにアテネを中心としたギリシアが挑み、戦争に勝ったアテネが覇権を握るという内容だと思っていたのですが、もう少し遡って紀元前6世紀の頃のリディア、ペルシア、エジプトの覇権争いが書かれています。たまにスパルタがでてきますが、クロイソス、カンビュセス、アマシスのような王の名前は出て来ません。ペルシアとギリシアが直接対決するようになってギリシアの王が登場するのかと思います」
「ギリシアは民主制だから王は出て来ない。アテネの政治家ソロンの名は第1巻で登場する。君は上巻だけしか読んでいないし、『歴史』の中心となるペルシアとギリシアの戦いは第5巻から第9巻だ。君が全部通して読んだらすぐに現れるとしよう」
「ワニやミイラの話が出て来たりして結構脱線するようなので、私も読むのが楽しみなんです」