プチ小説「いちびりのおっさんのぷち話 この4年間何してたん編」
わしが幼少の頃は時間が経つのが遅そうて、早く大人になれへんかなと思うたもんやった。大人になったら、大衆食堂できつねうどん、カレー、オムライス、焼きそば、親子丼が好きなだけ食べられるし友だちと夜遅くまでぶらぶらしてても親に怒られへんからやが、食うにしても遊び歩くにしてもお金がなかったらでけんからわしはとりあえず高校を卒業するまでは先生や両親が言うことを守って社会人になって給料がもらえるようになったら好きなことをしようと考えたんやった。幼少の頃はそんなことしか考えんかったのやが、小学5年生の頃に小学校の図書館でホームズが出て来る『まだらの紐』と『赤毛連盟』を読んでおもろい小説があるもんやなと思うたんやった。わしが本に関心があると気付いた母親は小学生対象の偕成社の少年少女世界の名作から『大いなる遺産』『二都物語』『最後の授業』『ああ無情』『古事記物語』『巌窟王』『三国志』『大地』『竹取物語』『太平記』『雨月物語』なんかを買うてくれたが、わしは船場と同じように『大いなる遺産』『二都物語』『三国志』の登場人物紹介のところを何度も見るだけで本文は読まんかった。中学生の時はマンガ本ばっかり読んどったけど、高校に入ってすぐに土井君という警察官の息子がわしに井上ひさしの『ブンとフン』を貸してくれて、ユーモア小説に興味を持つようになった。でも井上ひさしさんの小説はちょっと読みにくかった。それに対してSF御三家の小説は読みやすかった。それで星新一はほとんど読んだけど、たまたまわしの通う高校が御三家の1人の出身校やったからその先生のも10冊くらい読んだんやった。高校を卒業してからは、たまに翻訳ものを読むようになった。船場と同じようにディケンズ、モーム、デュマはよう読んだけど船場みたいにギリシアの英雄叙事詩や歴史書や悲劇、アラビアンナイトまでは読まんかった。あいつ4年前(2022年7月末)に仕事を止めて、にいさん、ぼく、これから古典と言われる本をたくさん読んで知力を貯えて、懸賞小説に応募するんですちゅーとったけど、未だに一次選考に受かった話は聞かん。古典も何を読んだか聞いとらんからいっぺん訊いてみたろ。おーい、船場ーっ、おるかーっ。はいはい、にいさん、わたしが2022年8月から今までどんなことをして来たかをお知りになりたいんですね。懸賞小説に応募するちゅーとったけど、ホンマに応募したんかいな。ええ、詳細は言えませんが合わせて5回以上は応募しています。まあ、それについてはええ結果が出るように頑張りやとしか言わんが、本の方はしっかり読んどるんかいな。ディケンズの長編小説はほとんど3回以上読んでいます。特に『大いなる遺産』はいくつかの翻訳本が出ていますので、15回以上読んでいます。なのでディケンズの長編小説以外の小説をしばらく読もうと考えました。それでこの4年間はとても読めないだろうと今まで思っていた小説や歴史書などを読みました。偉そうに読んだと言うけど理解力はそれほどないんやろ。まあ、それを言われては顔を赤らめて、ごめんなさいと言うしかないですが、それでも感想のいくつかは的外れではないと思っています。どんな小説を読んだんや。ギリシアの古典、英雄叙事詩や悲劇や歴史書を読もうと考えたのは、人文書院から出版された『ギリシア悲劇全集』、これはアイスキュロス、ソポクレス、エウリピデスの有名な悲劇を4巻にまとめたものですが、読みやすくておもしろく今まで読めないと遠ざけていたギリシアの古典も読めるのではないかと思ったのでした。それでホメロスの『イーリアス』『オデュッセイア』をまず読んでみました。なんとか最後まで読めたので、クセノポンの『ソクラテスの思い出』『アナバシス』『ギリシア史』も読みました。『ギリシア史』は大学時代の恩師(ドイツ語)の翻訳書なので感想文の終わりのところにできればお会いしたいと書いたのですが今のところ返事はありません。そうか、残念やな。トゥキディデス『戦史』を読んだので、今、ヘロドトスの『歴史』を読んでいます。『戦史』はまじめな歴史書ですが、『歴史』は週刊誌のような感じで書かれているところがあり興味は尽きません。読み終えたら、楽しい感想文が書けると思います。私はにいさんと同じようにモームとヘッセが好きです。今まであまり面白くなかった『月と六ペンス』を龍口直太郎訳で読んでなるほどと感心しました。龍口訳『女ごころ』も面白かったです。モームが書いたオブ・ヒューマン・ボンテージはずっと『人間の絆』と訳されて来たのですが、河合祥一郎氏はそれでは正しくないと『人間のしがらみ』という題に直して出版されたのでした。翻訳が読みやすかったので、ディケンズの『大いなる遺産』とソポクレス『オイディプス王」(重訳)も読みました。どちらもよかったです。ヘッセは今までなかなか手に入らなかった『ガラス玉演戯』が購入できたので楽しく読みました。今までよく理解できなかった『知と愛(ナルチスとゴルトムント)』もじっくり読んで理解できました。『千一夜物語』はいつ読んだんや。最初は童話のような話と思って読んだので、モームやヘッセと並行して読みました。でも第9巻(岩波文庫)のアラジンが登場したあたりから登場人物に興味を持てるようになり読むスピードも早くなり春までに読み終えました。その頃にディケンズの『アメリカ紀行』も読んだんやろ。ええ、小説ではないのであまり興味を持てなかったのですが、以前、一緒にクラリネットを習っていた方から、ディケンズとヘレン・ケラーは関係があるのですかと訊かれて答えられず、自分なりに調べて行くうちに『アメリカ紀行』に興味を持つようになりました。ディケンズの『アメリカ紀行』を読んだヘレン・ケラーの両親が同書に書かれてある施設を訪れたようです。他にもブロッホの『夢遊に人々』、スタンダールの『赤と黒』、ホーソンの『緋文字』、ツヴァイクの『マゼラン』、ケラーの『緑のハインリヒ』なんかも読みました。『歴史』を読み終えたら、セルバンテスの『ドン・キホーテ』を読むんやろ。そうですが、8月はあまり図書館に行かないので、懸賞小説を書く方に力を入れようと思っています。どちらも悔いが残らんようにせんとあかんよ。