プチ小説「クラシック音楽の四方山話 宇宙人編 124」

福居は3ヶ月に一度東京阿佐ヶ谷にある名曲喫茶ヴィオロンでレコード・コンサートを開催しているが、今日も開催のため京都駅から新幹線に乗り東京へと向った。台風でここ一週間雨天が続いていて今晩は大雨になるようだったが、朝のうちは曇りで今のところ傘の必要はなかった。名古屋駅に停車し福居が車窓の方に目をやっていると、後ろで、ココアイテマッカと声がした。どこかで聞いた声だなと思って通路側に目をやるとM29800星雲からやって来た宇宙人が笑いながらシートを指さしていた。
「ああ、谷さん、ここは指定席だから指定席券が必要ですよ。それにしてもいつものような道端での出会いでないので、どうしてここにいるのがわかったのか尋ねたいところです」
「シテイケンハセキガアイトッタラ、シテイセキノリョウキンヲハラウダケデエエンヨ。ホンデココニイルノガワカッタノハコウドウパターンヲカイセキシテコノシンカンセンニノルコトガワカッタカラ、ナゴヤカラノッタンヨ」
「そうか、年に4回3月、6月、9月、12月の第1日曜日の午後1時から午後3時までLPレコードコンサートを阿佐ヶ谷の名曲喫茶ヴィオロンで開催しますから、だいたい京都駅午前8時頃の新幹線に乗ると言うことがわかるのですね」
「ソウイウコトヤネン。ソヤケドウマクイカンコトモアルヨ」
「ところで谷さん、この後どうされるのですか、今日のLPレコードコンサートは、小品集の名盤「ジュビリー・レコード」と「クレモナの栄光」という告知で、選曲もいいですし楽しんでいただけると思うのですが」
「ワシモイッペンイッテミタイネンケド、キョウハユウジントアサクサニアルオツクリタベホウダイノミセニイクンヨ」
「谷さんの友人と言うとやはり宇宙人なんですか」
「モチロン、チキュウジンノオトモダチハアンタダケヤヨ」
「ところで谷さんはクラシック音楽がお好きだから、東京の名曲喫茶めぐりをされるのもいいと思います」
「メイキョクキッサヴィオロンノホカニモアルノネ」
「一番有名なのは渋谷の名曲喫茶ライオンです。以前は東京に着いたらすぐに行っていたのですが、最近は午後1時からの営業になってレコードを以前のように掛けてもらえなくなって残念です」
「デモウチュウイチノサウンドトウタッテイルダケノコトハアルネ。ワシモイチドダケイッタコトガアルノヨ」
「昨年末で吉祥寺の名曲喫茶バロックは閉店したようです」
「ホカニモ、ネルケン、ルネッサンス、デンエンナンカガアルネ」
「ネルケンと田園はオーディオ装置があまり大きくないので行かなくなりました。ルネッサンスは一時通いましたが、馬の頭が気になって行かなくなりました」
「ソレカラアンタズットキョウトノリュウゲツドウニイットッタノニココ4ネンイットランノヤロ」
「2代目の店主が昨年亡くなられたと聞いたので、久しぶりに行ってみようかと思います。私のあつかましい性格が店主や店員を不快にさせるのか、名曲喫茶では何度も不快な思いをしたことがあります。でも店の雰囲気が良くてクラシック音楽を素晴らしいオーディオ装置で聞ければこれ以上すばらしい空間はありません。ヴィオロンやライオン以外にもうひとつ家の近くに名曲喫茶があればレコードを持ち込んでそこでも楽しい一時を過ごせるのですが、後任の責任者の方が気になるところです」
「イロイロアッタンヤロケド、アンタガイカヘンウチニナクナルノハアンタモカナシイヤロ。コンドノドヨウビニデモイキナハレ」
「そうですね、リクエストが掛けられている間は楽しい時間が過ごせるのですから」