プチ小説「青春の光28」

「は、橋本さん、どうされたのですか。三波春夫さんの歌を歌われたりして」
「やあ、田中君、こんなところを見られてしまって...。穴があったら入りたいぐらいだ」
「いえいえ、なかなかどうして、張りのあるいいお声でしたよ。でもなぜ」
「実は、26の大学図書館、28の公立図書館のホームページに掲載していただいている
 (2012.8.8現在)が、売り上げが一向に伸びない「こんにちは、ディケンズ先生」船場弘章著 
 近代文藝社刊の売り上げ向上、それから景気づけのために替え歌を唄っていたんだ」
「替え歌ですか?どうもそのままだったように思うのですが...」
「そうかなー、じゃあ、歌ってみるから、よーく、聴いていたまえ。

 こんにちは、こんにちは、ディケンズ先生
 こんにちは、こんにちは、ディケンズ先生
 こんにちは、こんにちは、世界のひとーが
 こんにちは、こんにちは、東から西から
 2012年は、アニバーサリーだよ
 こんにちは、ディケンズ先生、握手をしーよーおー」
「......」
「まあ、こんなところだ。どうかな」
「ぼくも、前から、船場さんを励ますために替え歌を考えていたんです。
 で、やっと先程できたので発表したいと思います。
 橋本さんが歌われた替え歌のように猛暑日に負けないひまわりのような輝きはありませんが、
 春の日のさくらのように日本人の心に穏やかに静かにやさしく語りかけるそんな
 替え歌ですから、原曲と余り変わりがないのはご了承ください。では...

 春の日の花と輝く ディケンズ先生
 いつしかに あせてうつろう ディケンズ先生
 我が心は変わる日なく おん身をば慕いて
 とこしえにあなたの小説は 我が胸に生くべし

 若き日のほおはきよらに ディケンズ先生
 おん身いまあでにうるわし ディケンズ先生
 我が心は変わる日なく おん身をば慕いて
 とこしえにあなたの知恵は 我が胸に生くべし」
「ううっ、なぜか、目が涙で曇って来た。田中君が言うようにジーンと来る替え歌だね。
 そう言えば、「こんにちは、ディケンズ先生」はこの歌のモチーフをうまく使って...」
「そうです。泣かせるシーンをこしらえていますね。船場さんはクラシック、ジャズ、ポピュラー、フォークソング、
 懐メロなどいろんな曲に興味をお持ちのようですから、小説の中でたくさん紹介してもらえるといいですね」
「そうなんだ。ぜひ今度は「骨まで愛して」のモチーフを生かしたシーンを登場させてほしいと思っているんだ」
「......」