プチ小説「青春の光2」

「橋本さん、相談したいことがあるんですが」
「やあ、田中君、最近も山登りはしているのかい」
「実は今日はそのことではなく、仕事のことで相談に乗ってほしいと思い、お
 伺いしたのです」
「そんなに気を使わなくていいよ。で、相談ってなんだい」
「その、えーと、やっかいな問題が起きまして、少し気難しい人と3人立続け
 に応対しなければならなくなったんです」
「それで」
「今まで何度かその人たちと交渉を持ちましたが、一向に埒があきません。ます
 ます混迷の度合いを深めるばかりです。ゴールデンウィーク明けに3人 に電話
 することになってしまったんです」
「それでどうしたらいいかということだね。黙って私の言う通りにするかね。 よし、
 それなら方法を教えてあげよう。明日から4連休に入るが、必ず次のことを実践
 すること。ひとつは明日からの4連休のうち3日は比良山のいつものコースに
 行って来ること。もうひとつは4日いずれの日も2時間腹筋運動をすること。
 以上のことをしてから交渉をしてみればいい。結果がどうなったか、教えてくれ」
「…….」

「橋本さん、あなたのおかげで…」
「どうだい、うまく行ったろう。交渉事は言わば戦いなんだ。腹がすわらないと
 言いたいことが言えない。筋力トレーニングをしてその場に望めば、言いたいことも
 力強く言うことができるし、相手を自分のペースに巻き込めば、いろんなわざも使える。
 私はいっぺんに決着を付けたいので、最初に急所に一撃をくらわすのだが、そこは人
 それぞれ、そこまでは説明しなかったのさ」
「次は、是非急所への一撃のやり方を教えて下さい」