プチ小説「青春の光31」

「は、橋本さん、どうしても尋ねたいことがあるんですが...」
「なにかな、田中君」
「「こんにちは、ディケンズ先生」船場弘章著 近代文藝社刊 についてなんです」
「私で答えられるかな」
「橋本さん、それは間違っています」
「えーーーーーっ!!!もうひとつおまけだ、えーーーーーっ!!!」
「だって橋本さんは、この前にぼくたちは船場さんが創作した人物と言っていたじゃないですか。
 それなら僕らの言動はすべて船場さんが考えるわけだから、橋本さんの口を借りて答えることは
 可能なはずです」
「なるほど」
「で、お訊きしたいのですが、船場さんは、クラシック、ジャズ、ポピュラー、フォークソング、
 懐メロと幅広く音楽を聴いていると以前橋本さんからお聞きしたことがあるのですが、
 「こんにちは、ディケンズ先生」の中でどのようにとり上げて行くおつもりなんでしょうか」
「それはしらん」
「そんな勿体ぶらずに教えてくださいょーお」
「教えてあげない」
「じゃあ、自分で話すからいいですよ」
「そうさ、君の方が説明は上手だから」
「それではお話ししましょう。実は船場さんは、ヒロイン秋子が名曲喫茶ヴィオロンでシューベルトの
 アルペジョーネ・ソナタとブラームスのクラリネット・ソナタ第2番をクラリネットで演奏させた
 のを手始めに、小説の中でいくつかの曲を紹介しています。このコンサートの中では他にも
 「春の日の花と輝く」「グリーンスリーブス」「ロンドンデリーエア」を紹介しているますが、
 「春の日の花と輝く」は主人公小川とヒロイン秋子を結びつける重要な役割を果たしています。
 この名曲喫茶ヴィオロンでのコンサートは続編の中でその後も行なわれ、メンバーも増えて行く
 のですが、このヴィオロンでのコンサートでクラシックの名曲が紹介されます。他にも
 長女の深美はロンドンの音楽院でピアノを勉強しているので、4巻の中頃から彼女のコンサート
 についての描写も出てくるようです。またそれより少し後になりますが、秋子が率いる
 アンサンブルがクラシックの名曲を編曲して演奏することになっています。続編については
 今のところ本になっていませんので、船場さんのホームページMy Classicsite のプチ小説のページや
 プチ小説のページ2で読んでいただくしかありません。音楽に関してもう少し情報提供をするなら、
 主人公以外は音楽的センスが秀でていて、小川の下の娘はヴァイオリンの演奏家になり、
 アユミと大川の娘はあらゆる楽器に精通した音楽家、息子は指揮者になるそうです」
「それじゃー、私が心待ちにしている、懐メロはいつ出てくるのかな」
「今のところ、3巻の終わり(船場さんは、1から75話を第1巻、76から150話を第2巻、
 151から225話を第3巻と考えていて、現在226話まで完成しています)のところから
 登場するベンジャミンというイギリス人がブルーグラスを演奏するという場面がありますが、
 このようにしてクラシック以外の音楽についても少しずつ紹介したいと考えておられるようです」
「でも、ディケンズ先生の、ディケンズ先生による、ディケンズ先生のための小説なんだから、
 そのことを忘れないようにしないと」
「本当にそうですね」