プチ小説「青春の光32」

「は、橋本さん、ついに「こんにちは、ディケンズ先生」船場弘章著 近代文藝社刊が発売されて
 今日で丸1年ですね」
「そうだな、この前船場君と会った時もその話をしていたよ。そうして船場君はこの本を発売するのに当たり
 多くの人のお世話になったと言って、私に名字の頭文字だけを教えてくれてそれぞれどんなことで世話に
 なったか話してくれたんだ」
「船場さんはその人たちに謝意を表したかったんですね」
「そこでお目出度いこの場を借りて、船場君がお世話になった方々の姓のイニシアルとその内容を
 列記し、私からもその方達にお礼をしたいと思っているんだ」
「じゃあ、どなたから行きますか」
「やはり、親友のK先生がその筆頭に来るだろう。この先生は船場君が句読点もきちんと打てないような
 状況だったのを小説が書けるレベルまで引き揚げてくださった。船場君が多用する間接話法、
 ストーリー展開のコツなどはこの先生に教えて貰ったようだ。それまで短編小説ばかり書いていた
 船場君に「こんどは長いの書いて」と言ったのもこのK先生なんだ。このひとなくして船場弘章はなかった
 だろう。それからいよいよ出版することが決まってからは、近代文藝社のTさんに非常に世話になったと
 言っていた。雲の上のような存在の小澤一雄先生に表紙絵と3枚の挿絵を描いていただけることになったのも
 Tさんのお陰と言えるし、船場君の話だと、Tさんは自分より「こんにちは、ディケンズ先生」のことを
 知っているようだった。いくつかの誤謬を指摘してくださったと言っていた」
「Tさんの同僚のHさんにもお世話になったと言っていましたね」
「そうなんだ、Tさんと同年齢の女性だが、営業だけでなくコンピュータの操作に熟達していて、
 チラシや現在、近代文藝社のトピックスにとり上げられている船場君のページもHさんが作られたそうだ」
「おふたりとも船場さんにとって、心強い味方ですね」
「もちろんそうだ。それから船場君は本の出版と同時にディケンズ・フェロウシップに入会し、自分の
 小説のことを新着情報にのせてもらっただけでなく、別のプチ小説、プチ朗読用台本などを
 この新着情報に載せて(ホームページにリンクして)貰っているが、インターネット担当の
 N大学のM先生には大変お世話になっていると言っていた。また総会に行くとK大のS先生や
 W大のU先生も暖かい声を掛けてくださるので、10月20日に開催される秋季総会に出席するのが
 楽しみなんですと言っていた」
「あと3つ謝意を表さなければならないところがありますね」
「そうだ。ひとつは小説にも出てくる名曲喫茶ヴィオロンだが、昨年12月に「こんにちは、ディケンズ先生」
 の出版とヴィオロンで長年LPレコードコンサートを開催しているということに対して、大学の名誉教授の
 A先生とヴィオロンのマスターに表彰してもらい高価な記念品もいただいたそうだ。表彰してもらった後にも
 A先生は船場君を手紙で励ましてくれているそうだ。それからこちらも小説に出てくるのだが、風光書房の店主からは
 店に行くと文学についての興味深い話が聞け、お聞きしたお話を小説で使わせてもらっていると言っていた」
「店主のSさんはW大の仏文科出身でフランス文学について造詣が深いだけでなく、ドイツ文学、ロシア文学
 などにも幅広い知識も持たれているということですよね」
「そのとおりだ。そして最後は...」
「もちろん、ミュージックサロンJEUGIAの船場さんと同じクラスの生徒さんと先生は月に3回、船場さんのHPの
 クラリネット日誌に登場してくださるのだから、船場さんのHPのリピーターの方には一番なじみ深いかもしれないですね」
「田中君が言う通りだ。なかでもN師の暖かい人柄に引かれる人はきっと多いに違いない。Nさんの励ましがあったから
 立ち直れたということが何度もあったと船場君は言っていた」
「またここではとり上げられなかった、職場の人や家族にも励まされ、細心の心配りや暖かい心遣いに何度も触れる
 ことが出来、充実した一年だったと話しておられましたね。もうそれだけで十分じゃないですか」
「わしもそう思うんだが、船場君は多くの方達の応援に応えることができるよう今後も頑張ると言っていた」
「それじゃあ、ぼくたちも負けないように船場さんを応援しないと」
「そうだ、だから田中君、君も毎日腹筋と腿揚げを欠かさずするように」
「......」