プチ小説「友人の下宿で8」

「みなさん、今日は高月さんがバッハの音楽について話して下さるそうです。
 最初は「マタイ受難曲」だけと言われたのですが、入門編でお願いしますと
 涙を目に溜めてお願いすると受け入れて下さいました。それでは、はりきっ
 てどうぞ」
「今日は、バッハ入門ということで4曲聴いていただくことにしました。最初
 にお聴きいただくのは、無伴奏チェロ組曲第1番です。冒頭のメロディは誰も
 が知っているのですが、新鮮で湧き出る泉のように尽きることなく、バッハの
 音楽の魅力を実感させてくれます。カザルスの演奏でどうぞ」

「次は、ゴルトベルク変奏曲をお聴きいただきます。この曲は安眠のために作ら
 れた曲なので、眠たくなったらどうぞお眠り下さい。この曲の使命を果たせた
 ことになりますから、でもこのクールドの演奏は名演なので、かえって目がぱ
 っちりするかもしれません」

「3曲目はオルガン曲を3曲聴いていただきましょう。最初は、小フーガと言わ
 れる、フーガト短調です。それからトッカータとフーガ ニ短調とトッカータ
 とフーガへ長調をお聴きいただきます。リヒターの演奏でどうぞ」

「最後はやはり、無伴奏ヴァイオリン・パルティータ第2番をお聴きいただきま
 しょう。最後の楽章のシャコンヌは単独で演奏されることもある特にすばらしい
 部分です。無伴奏ヴァイオリン・ソナタとパルティータ全曲のすぐれた演奏を
 残しているシェリングの演奏でどうぞ」

「百田どうだった」
「前回、名取に、60キロ5人も入れたら床が抜けるから20キロは減らすように
 と言われたんだ。それで40キロの友人を7人にしたんだ」
「……」