プチ小説「青春の光56」

「は、橋本さん、もうすぐ9月ですね」
「そうだ。そして10月3日がやってくると、『こんにちは、ディケンズ先生』が発刊されて
  丸3年となる」
「大学図書館も102館と100館を突破し、公立図書館と会わせて282館となったのですね」
「大学図書館が100館を越えたということで、船場君は前から考えていたある計画を実行する
 ことにしたのだが、このことは成果が上がったら、報告することにしよう」
「わー、なんだろな。楽しみだな」
「ま、それは成果が上がってからのお楽しみだ。それより近代文藝社さんのご好意でしばらくは
 『こんにちは、ディケンズ先生』は書店で購入可能なので、われわれもこのPR活動を続けることができる。
 なにか斬新なアイデアはないかな」
「そうですね。特にないですね」
「がくっ。まあ、今まで通り、地道にやっていくしかないか」
「そうですね。そうだ、ひとつ思いつきました」
「ほう、それはなにかな」
「ユーモアのある、奇抜な宣伝文句、キャッチフレーズというのかな」
「うーん、よくわからないが、なにかいいのがあるかな」
「こんなのはどうです。『こんにちは、ディケンズ先生』は蜂の子のようにおいしい」
「なるほど。だが、諏訪市湖南の原田商店謹製の信州の珍味 蜂の子花九曜煮(栄養ホルモンの精)と
 船場君の小説がどう結びつくのかな」
「船場さんは8月1、2日と長野を旅行されたのですが、以前から興味があったが、買いそびれていた
 この蜂の子の佃煮を買われたのです」
「佃煮というより、甘辛く煮詰めたものという感じかな」
「なかなか食べる決心がつかなかったのですが、先日、ついに食べられたそうです」
「で、どんな味だったのかな」
「まあ、見た目はあまりよいとは言えませんが、味は高級和牛の佃煮という感じで朝何も食べずに
 この蜂の子を食べたからか、1時間ほどその上質の牛肉のような味が残ったということです」
「そうなのか。私も食べたいな。今度、長野県に行ったら、買うぞ。でも、われわれの宣伝するのは
 蜂の子ではなかったはずだが...。でも田中君がいいたいことはわかったよ。『こんにちは。ディケンズ先生」は
 蜂の子の花九曜煮のように味わいがあって、その味わいが後に残るといいたいんだね 」
「それからもうひとつ。今回の試みは最近はやりのグルメのパロディ的なものなんですが、今までのように
 視覚、聴覚に訴えるだけでなく、味覚、嗅覚に訴えるという斬新な手法なのです」
「そうか、蜂の子を食べて、おいしいと思ったら、『こんにちは、ディケンズ先生』を思い出すという
 ことだな。まるで、条件反射のようだな」
「......」