プチ小説「たこちゃんの充電」
チャージ カルガ エレクトリッシュ・ラドゥンク というのは充電のことだけど、ぼくは三年寝太郎ではないけれど、
『こんにちは、ディケンズ先生』船場弘章著を2011年10月3日に出版してから3年間はこれといった足跡を残して
いないが、これから張り切って行くぞと思っている。地道に大学図書館に出版社から代行発送してもらったおかげで、
今のところ104の大学図書館で受け入れていただいている。また直接出掛けて行って担当の方に手渡ししたり、
出版社から代行発送してもらったおかげで、182の公立図書館で受け入れられている。『こんにちは、ディケンズ先生』の
続きもコンスタントに書き続け、今、275話まで完成している。他にも、趣味のクラリネットのレッスンの様子を中心に
日誌を書いた、「クラリネット日誌」も面白いところを抜き出して1冊の本を作るのも可能だと思う。また西洋文学を紹介した
「古典入門のページ」もセレクトして1冊の本にすることもできると思う。それからA4の紙に収まるくらいの短い小説、
プチ小説も「こんにちは、ディケンズ先生」以外に200話以上書いていて楽しい連載物があるから、こちらもセレクトすれば
楽しく読んでいただけるだろう。これは翻訳家の先生の了解が必要だが、ディケンズの小説を抜粋して「プチ朗読用台本」を
作っているので、こちらもチャンスがあれば了解を得て出版して、ディケンズの魅力を知っていただけたらと思っている。
ディケンズが主人公の夢の中に出て来て、自分の小説について語ったりする小説を出版してすぐに、ディケンズ・フェロウシップに
自著を贈呈して会員になったことはいろいろな繋がりができて本当によかったと思っている。その上、昨年(2013年)の
秋季総会でミニ講演「ディケンズとともに」をさせてもらったのだから、先生方にはいくら感謝してもし足りないくらいだ。
小さい頃から親しんだ小説を自ら書き多くの人に楽しんでいただけるのなら、今まで自分が楽しんで来た西洋文学とクラシック
音楽を私なりに社会に紹介することが可能になるので、なんとか道が開けないかと思っている。駅前で客待ちをしている
スキンヘッドのタクシー運転手は、スポーツ紙しか読まないと言っていたが、もしぼくが物書きになったら、熱心な読者に
なってくれるだろうか。そこにいるから訊いてみよう。「こんにちは」「オウ ブエノスディアス パラオブテネールエステ
プエストアエチョエステュディオスエスペシャルズ」「いいえ、ぼくは大学は法学部でしたから、文学や文法について体系化された
ものを勉強していません。また高校や大学の時に文芸サークルに所属していたということもありませんし、文芸教室や通信教育で
文章を指導してもらったということもありません」「ふーん、それやったら、学生の頃に西洋文学に興味を持った人が書いている
文章を読ませてるということかいな。それだけやったら、あんまり魅力ないんとちゃう」「そうですね。新参者が無理をして
頑張って来ましたが...どうも新規参入というのは難しい世界のようです」「えらい、あきらめがええんやな」「ええ、ぼくも
大志を抱いて、『こんにちは、ディケンズ先生』を発表しましたが、未だに増刷もできませんし、レヴューも大きな
反響はありません。時間を作ってレヴューを書いていただいた方には心から感謝したいのですが、それが報われない現状が
歯がゆくて、情けなくて...」「そうか、そうやったんや」「空元気を出して頑張って来たのですが、もうそろそろ終わりかと...」
「なんや、船場はんって、しょうもない男やったんやな」「ど、どういうことですか」「ちょっとしたことで、落ち込んで」
「でも、聞いてください。ぼくは3年待ちましたが、これといった」「そんなことあらへん。あんた、いろんなところで
頑張っとるとわしは思っとる。わしやったら、大学図書館にひとつ、公立図書館にひとつ受け入れてもろたら、誰かが
手に取って読んでもらえると思うて、わくわくすると思うでぇええ」「確かに、そうですね」「人間の欲は果てしないから
船場はんももしかしたら、そういうシンドロームにかかったんとちゃう。はやくそこから抜け出さんとあかんと思うわ」
「どうすれば、いいのですか」「そうやなー、まずは船場はんの取り柄の地道に頑張るちゅーのを続けたらええんとちゃう」
そう言って、鼻田さんは手を差し出した。「わしとあんたは運命共同体やから、見放しはせんけどあんまりはめを外したら、
教育的指導を行うから、心しときや」「わかりました」