プチ小説「アキさん、ごめんね3」

今度は駄目だろうと私は思っていましたが、2ヶ月するとまたアキさんからメールが来ました。

私は、実は、バレー音楽が大好きなんです。チャイコフスキーの「白鳥の湖」「くるみ割り人形」「眠りの森の美女」、
ストラヴィンスキーの「春の祭典」「ペトルーシュカ」「火の鳥」のロシアものはもちろん、フランスの作曲家、
アダンの「ジゼル」、ドリーブの「コッペリア」、ラヴェルの「ダフニスとクロエ」なんかもいいと思います。


バレエ音楽を全然聞かない私は、当惑しました。そこでクラシック音楽以外のあたりさわりのない話題に変えて
みることにしました。

アキさんは、きっと頭の回転のよい小回りのきく女性なんでしょうね。私の好きなラグビーで言うと、スクラムハーフか
スタンドオフでしょうか。違っていたら、ごめんなさい。

すぐに返事が来ました。

残念ながら、はずれでした。フォワードの要と言われるナンバーエイトか巨体を生かしてボールを奪いに行くロックの
ような女性だと思います。あとはご想像にお任せします。

私は30年程前に活躍したロックの選手と彼女の顔がダブりました。まさかそんなことはないだろうと思い、もう少し
突っ込んで聞いてみることにしました。

どういうところが、ナンバーエイトとかロックなんですか。例えば、スクラムワークが巧みとかモールプレイが
うまいとかでしょうか。


1週間して返事が来ました。

今は女子ラグビー人口も増えていますが、私はやりません。例えればということです。フォワードとバックスを
繋ぐSHとSOは華やかで人気もありますが、私の性に合いません。どちらかというと攻撃の核になるスクラムの
中心的な役割か、機動力に富むモールを形成する役割のどちらかが自分に向いているように思ったからです。
もちろん仕事の上でのことですが。私がラグビー・ファンになったのは、生身の身体がぶつかりあって、脳震盪まで
起こすというその迫力だったのですが、最近は薬缶を持った人が走る場面が少なくなり、残念な気がします。


私は、何度か花園ラグビー場に高校ラグビーを見に行ったことがあるので、思い切って誘ってみることにしました。

ラグビーに興味をお持ちのようなので思い切って言いますが、来年の新春にラグビー観戦に行きませんか。
高校ラグビーは、1月3日の準々決勝で4つの試合が見られますよ。どうですか。

すぐに返事が来ました。

私は関東に住んでいますので、遠慮しておきます。それに生駒降ろしも、けっこう身にしみると言われていますので。
ごめんなさい、ご期待にそえなくて。