プチ小説「いちびりのおっさんのぷち話 フルマラソンを目指して編」

わしがちいこい頃は男子陸上の花形は100メートル走やのうて、マラソンやった。それは人並み外れた肉体でなくても、地道に頑張っておればある程度の成績を残せるという、日本人の心情にぴったり合っていたからやないかと思う。「努力すれば、報われる」ちゅーことがあまりに当たり前すぎて、わしは好きやなかったが、年を食うにつれて、それが真実で嘘やないことがわかってきた。そんなこともあって、中年を過ぎてから、地道にかけっこする長距離走に興味を持ったんやった。わしは船場みたいに大会に出たりするのはようせんけど、100才過ぎても宮崎秀吉はんみたいに走り続けられたらええなと思っとる。ところで船場が最近どうしとるんか気になるから訊いてみたろ。船場ーっ、お前、最近どうしとるんや。はいはい、兄さん、走ってますよ。2週間に1回位。あかん、そらあかんで。ど、どうしたんですか。いきなり、わたしを見限るような発言をされて。どうしろと言われるんですか。船場、お前は、昨年1月に高槻シティハーフマラソンの10キロに出場して、初めてやったのに1時間13分23秒で走り、50代で224人中184位で走り終えたんやった。その後ハーフマラソンに挑戦するとか言っとったのに、どないなったんや。そら兄さんはクラリネットを吹きながら走ったらええがなとかパソコンで原稿を打ちながら走ったらええやんと言われるかもしれませんが、そんな器用なことはぼくはようせんので地道に走っとるんです。何言うとるんや。クラリネットの発表会が終わったんやから、高槻シティハーフマラソンの出場は無理にしても寝屋川や枚方の大会に出たらよかったんやないのぉ。いや、ぼくは内弁慶なんでそんなことはようしません。ほたら、お前フルマラソンはやらへんのか。何もそんなことは言っていません。いつかは走ってみたいと思っとります。ぼくが考えるに、いきなり時間無制限の大会に出場して8時間かけて走るというのもフルマラソンを走ったということにかわりはないのですが、やはり5時間を切る位の時間で走りたいと思っとります。前に20キロを走ったことがありますが、ゆっくり走っても13キロ走ったのよりずっと疲れますし、4時間かけて走るとその日は他のことは何もできなくなります。20キロでそんなんですから、40キロとなるとどうなることかと思います。週末は休暇を取ってほとんど連休にしていますが、それが長距離走でつぶれたのでは他のことができなくなって困ってしまいます。なるほどなあ、ほんなら、あきらめんとしゃーないのかな。いえ、そんなことはないと思います。毎週13キロ走るようにして体力がつけば、20キロに増やすこともできるでしょう。ただ問題はシーズンオフをどうするかです。そらどういうことやねん。5月の連休を過ぎると最低気温が25度以上という日も出てきます。25度から30度の気温の中を走るというのは熱中症になることもあり、とても危険です。なので5月中旬から9月まではジョギングは難しいと思います。11月からジョギングに真剣に取り組んで1月の高槻シティハーフマラソンのハーフマラソンに参加して、そのためにはハーフマラソンの距離を2時間35分で走らなければいけないのですが、3月下旬のどこかで開催されるフルマラソンに出場するというシーズンを65才までにはと考えています。なるほどなあ、シーズンオフに中断して、また体力を戻すちゅーのも大変やろから、頑張りや。