プチ小説「いちびりのおっさんのぷち話 嗜好品はほどほどに」
わしがちいこい頃は嗜好品と言えば、夕ご飯のあとのお茶しかなかった。母親が一所懸命こさえた夕ご飯を食べた後で、緑茶を飲むくらいやった。茶柱が立ったら、明日ええことがあるでちゅーて、和やかな雰囲気が漂ったもんやった。たまに玄米茶やったりしたが、その時は付加価値のある高いお茶を飲ましてもろてると思うて、お茶を飲んだ後に出がらしに混じってた玄米を食べたもんやった。そんなわしも中学生になって、インスタントコーヒーやティーパックの紅茶を飲むようになった。当時はコーヒーに入れる乳製品の宣伝が盛んで、中でも芦田伸介さんが登場する、○○○プを入れないコーヒーなんてちゅーCMは耳にタコができるほど聞いたもんやった。わしが高校生になってからは、違いがわかる人のコーヒー、○ールドブレンドが発売されて、わしはコーヒー党になったんやが、当時は嗜好品を味わっているという感じではなく、単に眠気を覚ます飲み物としてしか考えとらんかった。その頃わしは○ールドブレンドよりユーバンというコーヒーをよく飲んどった。大学生になってからは、喫茶店でコーヒーを飲むことが多くなり、家でコーヒーや紅茶は飲まんようになったが、あの何とも言えん匂いにつられて、バン○ーテンのココアを飲むようになった。毎週のように飲んどったが、1杯だけでは物足りなくなり、2杯3杯と飲んでるとお腹をこわすようになり、それから1ヶ月ほどでやめてもうた。40代になって、神戸の輸入品専門の食料品店に給料が出たら行くようになり、お茶がいろいろあることに気付いた。日本のいろんなお茶(煎茶、抹茶、ほうじ茶、玄米茶、柿の葉茶、びわ茶など)、中国茶、中南米のお茶もあったんやが、紅茶がいろいろ置いてありわしの嗜好品への探求心に火を点けたんやった。それからは、セイロン、ダージリン、アッサムだけやなくアールグレイ、ウバなど幅広く購入し、ダージリンやアッサムは高級品も飲んだりしたんやった。ようけ買うた紅茶を全部飲まんとあかんと考えたわしは休日に1リットル近くの紅茶を飲んどったんやが、ついに胃に変調を来して、紅茶を見るのも嫌になった。それからしばらくは中国茶(清茶、烏龍茶)を適量飲んどったが、ジャズ喫茶でコーヒーをしばしば飲むようになり、コーヒー党に復帰したんやった。50才を越えてからはずっとコーヒー党やったんやが、それは朝に350ccほどコーヒーを飲む以外は2杯までというのを守っとったからやった。ところが最近になって昼から眠うてたまらんで仕事にならんとポット(250cc)にブラックコーヒーを入れて職場で飲むようになった。わしは今までコーヒーで体調をこわすことはなかったんやが、1日600ccというのは身体がもたんかったみたいで、変調を来したんやった。今では、安い日本茶で我慢しとるが、中国茶や中南米のお茶(例えばマテ茶)やルイボス茶に触手を伸ばすかもしらん。船場は一時中国茶に凝って、渋谷や京都北山の専門店に足を運んどったみたいやが、余りに高いんで続かんかったみたいや。睡眠不足の日の昼からは、目の焦点が定まらんようになって舟を漕いでしまう船場には眠気覚ましは欠かせんと思うんやが、最近はどうしとるんか訊いてみたろ。おーい、船場、おるかー。はいはい、にいさん、私が何を愛飲しているか、気になるんですね。そうや、投げ遣りなお前のことやから、きっと、午後の○茶、○鷹、○OSSを一緒に飲んで、胃の中でシェイクしとるんやろ。まさか、劇的な効果があるとしても、そんなあほなことはしませんよ。ほたら、何を飲んどるんや。ぼくもにいさんと同じで、日本茶で我慢しています。でも日本茶は未開のところでもあるので、いろんな産地のお茶を飲んだり、川根茶なんかも飲んでみたいですね。どうにも眠たくて、必要な時には、コーヒーも飲みますよ。わしは、シェイクがええと思うけどな。シェイク、シェイク、シェイクちゅーてな。交互に飲むんや。お前がせんのやったら、わしが今度やってみるわ。