プチ小説「たこちゃんのグルメ・リポート4」
ぼく、たこちゃん。美味しい食べ物に目がない50代のおじさんなんだ。今日はおじさんの大好物カレーの話をしよう。どのくらい好物かというと、ぼくは自分でよくカレーを作るんだけれど、この前、作った時は、カレーを作った晩の夕食、次の日の朝食、昼食、夕食それから次の次の日の朝食と立て続けにカレーライスを食べた(合計7杯)けれど、飽きることがなかった。いつもは飽きて来て、カレーうどんをしたり、パンに付けて食べたりするんだけれど、今回はルーの組み合わせが良かったのか。続けて食べても美味しかった。いつも2リットルの鍋で牛肉、ジャガイモ、ニンジン、タマネギを煮込むんだけれど、ルーは市販のルーを2種類入れて作る。気分でいろいろだが、この前は、ハウスジャワカレーの辛口1箱とグリコこくまろカレーの中辛半箱を使って調理した。ぼくは激辛の求道者ではないから、程よい辛さがいいんだが、この辛さでも涙を流すくらいなんだ。そういうわけでカレーは家庭料理なので、昔、母親がハウスのカレー粉末で作ってくれたカレーが(雰囲気もよかったし)一番良かったんじゃないかと思うんだ。最近、ココイチのカレーがお気に入りで、昨日も、牛すじ煮込みカレーを食べたんだけど、これは正直言って、ルーの旨さというより、トッピングされる牛すじが食べたいということからココイチに通っているとしか言えないと思う。東京にはカレーの有名店が数多あるので、いつか食べ歩きをしてみたい気がするが、わざわざ東京に行って、昼食がカレーというのももったいない(さみしい)気がして、今のところは検索もしていない状況なんだ。その代わり今回は今まで食べた、美味しかったカレーを紹介しようと思うんだ。最初は、今から40年ほど前に阪急高槻駅の南側にあったカレー屋さん(店名は覚えていない)。一緒に付いていた野菜サラダが美味しくて、よく行ったんだったが、阪急高槻駅が高架化された際になくなってしまった。それからJR大阪駅の西口(構内)近くに10年くらいまであった、るーというお店もいい味だった。こちらも駅構内の改修工事でなくなってしまった。それから忘れられないのが、阪急茨木市駅近くのJazz喫茶Cコルでメニューのあったカレー。これもなかなか美味しかった。家庭料理のような少し辛いカレーはやみつきになる味だった。ぼくがまだ30代だった頃、しばしばここに行っては、コーヒーを飲んだり、カレーを食べながら、Jazzのレコードを聴かせてもらったものだった。コルトレーンの「バラード」を聴くのが一番好きだったが、マイルスの「リラクシン」、ビル・エヴァンスの「ポートレイト・イン・ジャズ」、ブルーベックの「タイム・アウト」、ポール・デズモンドの「スカイラーク」、ジェリー・マリガンの「ナイト・ライツ」、ポール・チェンバースの「ベース・オン・トップ」、ルー・ドナルドソンの「ブルース・ウォーク」、ケニー・バレルの「ミッドナイト・ブルー」、チェット・ベイカーの「ウィズ・ストリングス」、リー・モーガンの「キャンディ」、ハンク・モブレーの「ソウル・ステーション」、アート・ブレーキーの「チュニジアの夜」、ロリンズの「サキソフォン・コロッサス」なんかを聴かせてもらった。ヴォーカルは、アニタ・オディの「ジス・イズ・アニタ」(バークリースクエアのナイチンゲールが素晴らしい)のCDを聴いたのが印象に残っている。ある時、デューク・ジョーダンの「フライト・トゥ・デンマーク」を掛けてもらったところ、そのあとすぐにクラーク・テリーの「カラー・チェンジズ」を掛けられた。どちらのアルバムにも、ノー・プロブレムという曲が入っているので、反応してくださったと思った。それまでには一度もそんなことがなかっただけに、いつまでも記憶に残る瞬間だった。その後、ぼくは仕事が忙しくなり、ジャズ喫茶でゆっくりコーヒーをすすっている時間もなくなったが、インターネットで調べると、2007年にマスターが亡くなられるまでは営業されていたようだ。もう一度、あのカレーライスを食べながら、バラードなんかを聴きたかったなと思うんだ。