プチ小説「たこちゃんのグルメ・リポート9」
ぼく、たこちゃん。美味しい食べ物に目がない50代のおじさんなんだ。ぼくが子供の頃は、スパゲッティと言えば、ママ―のイタリアンスパゲッティと決まっていた。小学生だったので、フライパンを使わずアルミ鍋で麺をゆでて、水を切ってから食用油を入れて(時にはラー油も入れて)炒めてオレンジ色の粉ソースをかけて食べたものだった。ミートソースのスパゲッティを学生時代に食べた記憶はなく、社会人になって、どこかの店で熱く焼けた鉄板にスパゲッティとミートソースが乗ったものを食べたのを覚えているが、スパゲッティだけを食べただけでは空腹が満たされず、他の料理も頼まないといけないのでスパゲッティを単品で注文することはなくなった。スパゲッティを自分で料理する時にネックになるのは、何といってもあの中途半端に長い麺をどうやって、均等に柔らかく歯ごたえのある状態にゆで上げるかなんだ。でもあの中途半端な長さの麺は鍋に入れるとはみ出て、そのままにしていると麺が焦げたり火が点いたりするんだ。それでぼくはスパゲッティの麺は中華鍋のような大きな鍋に大量のお湯を入れて茹でないといけないのかなと思っていたんだ。そんなある日、確か料理番組だったと思うけど麺はフライパンで茹でればよい、はみ出た部分は柔らかくなったところで麺が折れないように曲げてお湯に浸していけばよいということを耳にしたんだ。厳密に言うと均等の柔らかさにならないかもしれないけど、全体が湯に浸かってから標準ゆで時間プラス2、3分茹でるとちょうど良い柔らかさになると思う。この方法で、麺は調理できたけど、ソースについてはなかなか難しい。多分、市販のミートソースの素を購入して、ひき肉、タマネギをきざんだものを炒めて混ぜればそこそこのミートソースができるんだろうが、まだやったことがない。ぼくは缶入りミートソースを購入してきて、タマネギを炒め、マギーブイヨンのだし汁の中にそれらを一緒に入れたものでスパゲッティソースにしている。好みでケチャップ、とんかつソース、タバスコなんかを入れている。一度、和風スパゲッティを作ろうと思って、白ネギと鮭を買ってきて、鮭を焼いて、白ネギを炒めて、スパゲッティと和えて、しょうゆ味の和風だしをかけて食べてみたことがあるんだ。とてもおいしかったけど、鮭を2切れも入れたから血圧が上がるんではないかと心配になって、それ以後は和風スパゲッティは作っていない。たらこ、明太子スパゲッティも作ったけど、オリーブオイルの風味に負けないように味付けをすると塩をたくさん入れてしまう気がするんだ。就職して10年ほどしてジャズに凝り出し、阪急茨木市駅近くのジャズ喫茶コルに通った時期があるんだけど、ある時茨木市駅の駅ビル(ロサヴィア)の中に壁の穴というスパゲッティ店があるのに気付いた。ここのナス入りミートスパゲッティがお気に入りでよく食べに行く。大盛も可能なので空腹感も十分満たせるし、何より渋谷の本店よりずっと美味しいので、これからもしばしば訪れることだろう。