プチ小説「たこちゃんのグルメ・リポート14」

ぼく、たこちゃん。美味しい食べ物に目がない50代のおじさんなんだ。ぼくが初めて一人で東京に出掛けたのは今から35、6年前だけど、その頃は大阪でもんじゃ焼きという食べ物を知っている人は極わずかだったと思う。関西にはお好み焼きという美味しい食べ物があり、鉄板で粉もんを食べるなら新しいものに挑戦する必要はなく、お好み焼きで充分ではないかという保守的な考え方が浸透していたのだと思う。今でもそうだし、ぼくも同じ考えなんだけど、でもたまに月島で美味しいもんじゃが食べたいと最近は思うようになったんだ。最初にもんじゃ焼きを食べたのは東京でではなかった。今から20年程前に阪急豊中駅前にもんじゃ焼きの表示が出ていて、めずらしいなぁ、ひまだから入ってみようかという感じで入店したのだった。今ならもんじゃ焼きを美味しく食べるコツというのはわかっているけど、当時は何にもわからなかった。だからトッピングも、お好み焼きと同じのがいいんじゃないかと思って、ネギや豚肉やタマゴをトッピングしたと思う。薄味なのにソースを掛けないのかという印象だけが残った。そんなことがあってそれからしばらくはもんじゃ焼きを食べたいと思ったことはなかった。最近になってもんじゃ焼きを美味しそうに食べる人をテレビで見て、それほど美味しいのならもう一度挑戦してみるか、やはり発祥の地(?)もしくは聖地(?)と言われている月島でレクチャーを受けながら、食べてみようと思った。それで東京に出掛けた時に月島に行き午前11時の開店と同時に店に入り、店員さんにペコリと頭を下げ、美味しいもんじゃ焼きを食べさせてくださいと頼んだ。店の名前やその時に何を食べたかは記憶に残っていないが、店員さんが親切に教えてくれた。明太子とチーズの味と旨味をベースに魚介類の塩味を乗せれば味付けは十分で、味が付いていない豚肉や野菜類は少しにした方がいいということに気が付いたんだ。だからもんじゃ焼きでよく見る組み合わせは、明太子、チーズ、餅だと思う。半年ほど前に浅草でもんじゃ焼きを食べたが、その店でもこの組み合わせがメニューの一番最初に出ていた。もんじゃ焼きを食べるのに2つ気になることがある。ひとつは見た目の悪さ、もうひとつはお焦げを食べるということなんだけど、見た目はどうしようもないから慣れるしかないと思うんだ。お焦げはアジア料理では売りの一つとなっているので楽しめばいいんじゃないかと思う。実際、もんじゃ焼きのお焦げを食べたくて月島に来ているアジア人の方をたくさん見る。そういうわけで久しぶりに無性にもんじゃ焼きを食べたくなったぼくは月島でもんじゃ焼きを食した。バンビ4号店に入りメニューをを見ると明太子、チーズ、餅というのがあったが、今日はデラックスにしようと考え、餅をやめて、コーンビーフ、タコ、ホタテを入れてもらった。明太子、チーズの程よいしょっぱさに加え、魚介類などの旨味が加わりとても美味しかった。程よく桜エビとキャベツが入っていてボリューム感もあった。もう一枚ベーコンとイカのを注文するつもりだったけど、お腹がいっぱいになったんで店を後にしたんだ。