プチ小説「いちびりのおっさんのぷち話 調理の基本はインスタントラーメン編」

わしはちいこい頃からインスタントラーメンを食べとった。○キンラーメン(1958年に販売開始)が最初やったと思うが、自分で茹でて食べるようになったんは小学生高学年の頃やったと思う。父親が作ってるのを真似して、自分で調理するようになったんや。子供の腹を満たす手っ取り早い方法として母親がインスタントラーメンを食べさせるということを思いついたんやないかと思う。自分で食べたいインスタントラーメンを買うようになったんは高校生になってからやったが、家には時代流されへんインスタントラーメンが常備されとった。○ッポロ一番のしょうゆ味が1966年、同みそラーメンが1968年、同塩ラーメンが1971年、○星チャルメラが1966年、○ースコックのワンタンメンが1963年の発売開始というふうにわしが物心ついた頃というのが、インスタントラーメンの黎明期でこれから群雄割拠という時代やった。それから50年近く経つから、わしが1ヶ月の半分インスタントラーメンやカップ麺を食べているとしたら、15×12×50ということやから、少なくとも(というのは最近は毎日のように食べとるんや)9000食は今までに食べたちゅーことになる。そんなありがたいインスタントラーメンなんやが、それだけに留まらんとわしにいろいろと恩恵を与えとる。まずは麺のゆで加減ちゅーのがわかるようになったんや。言い換えれば、ごりごりの茹で方が足らん麺ちゅーのは消化不良を起こすちゅーのを教えてくれたんや。これはスパゲッティや讃岐うどんを茹でる時の参考にしとる。それからラーメンライスという休日のスタンダードな昼ごはんを作り出してくれたことや。わしにとったら、○前一丁と○ッポロラーメン塩味というのは、オムライスとカレーライスくらいの違いがあるから、土曜日と日曜日の昼食が続けてラーメンライスでも全然問題はなかった。それで高い金出して、肉料理なんかを食する必要はなく、エンゲル係数が上がるということもなかった。そんな有難いインスタントラーメンやけど、最近は各メーカーがカップラーメンの新製品の開発に忙しいようで、袋入りのインスタントラーメンの開発に力が入っとらんように思うんや。新参の食品メーカーが美味しいインスタントラーメンを開発してくれたらと願うけど、既にあるインスタントラーメンをローテーションで食べたら、飽きもこーへんしええんとちゃうちゅーのも否定はでけへん。船場は最近、「たこちゃんのグルメ・リポート」と称して、低価格なグルメ料理を食べて、写真を撮ったり、レポートを書いて喜んどるが、インスタントラーメン専門店(インスタントラーメンを調理して食べさせてくれる店)に行く気はないんか、訊いてみたろ。おーい、船場ーっ。おるかー。はいはい、兄さん、インスタントラーメン専門店になんで行かへんのかちゅーことですね。それは自分で作っても充分美味しいですから、時間とお金を掛ける必要はないということですわ。ほやけどなメンマ、チャーシュー、味付けタマゴ、ネギ、モヤシなんかのトッピングができるちゅーからこれは高付加価値食品と言えるんとちゃうか。まあ、それらもスーパーで買えますし、インスタントラーメンは家で食べるのがいいんじゃないかと思います。お前、そんなこと言うとるけど、最近は土曜日に外食することが多くなったんとちゃうか。そうですね、最近はグルメリポートを書いていますから。前から、ぼくの食生活のことを書いてみたいと思っていましたから。それに美味しい料理を食べたいという人間本来の欲望も芽生えてきました。まあ、もうちょっとで大台に乗ることやし多めに見たるわ。ありがとうございます。それはそうとグルメリポートに鳥が出てけーへんちゅーのが気になるんやが、なんでや。実は2年ほど前に鳥料理を大量に食べて体調を崩したので、鳥を食べるのを控えています。そういうこともあり、もうすぐ大台に乗るので、今まで一度も食べたことがない牛肉のステーキを一度食べみたいと思っています。あかん、そらあかん。お前は倹しい生活をしてなんぼのもんや。それに急に贅沢な生活をしたら体にええことないんとちゃうか。ステーキはわしが食うから、お前は、○王の担々麺で我慢しとけ。