プチ小説「たこちゃんのグルメ・リポート19」

ぼく、たこちゃん。美味しい食べ物に目がない50代のおじさんなんだ。ぼくは東京に泊りがけで行く時にたまに新橋愛宕山東急レイホテルを利用するんだけど、翌朝はいつも地下鉄を利用するために虎ノ門の駅まで歩くんだ。その時にいつも気になっていたのが、虎ノ門大坂屋砂場なんだ。「場砂」という看板が屋根の上に上がっている2階建ての木造家屋が高層ビルの隙間に立っているという感じなのだから、誰でも興味を持つんじゃないかと思う。ぼくも興味はあったんだけど一度食べてみたいと思ったのは、砂場そばというのは神田の藪そばと同じくらい伝統のあるそば料理の店だというのを2ヶ月ほど前にテレビで知ってからだ。あまり大きな店ではないので、ランチタイムやディナータイムを避けて、午後4時頃に来店できたらと機会を伺っていた。たまたま東京に行く用事があって(行きの新幹線の車窓から見た富士山がきれいだった)午後4時過ぎの時間が空いていたので、虎ノ門に向かったのだった。地下鉄虎ノ門の駅の1番出口から5分程で大坂屋砂場についた。1923年に建てられた店舗ということだけど、お店の中はきれいで落ち着いた(入った時はお客さんが余りいなかったが、帰る時にはほぼテーブルは埋まっていた)雰囲気だった。ぼくはいたわさ(蒲鉾をわさび醤油で食べる)と2種類のそばを食べることに決めていたので、まずは、きつねそばといたわさを注文した。きつねそばは三角の薄揚げが3枚乗っていたが、そばもだしも美味しく、あっという間に食べてしまった。もうひとつのおそばをどうしようかと思っていたが、辛み大根と白髪ねぎとそばを一緒にだしにつけて食べるからみというのがメニューにあったので、それを頼んだ。できあがるまでしばしば隣の席を見たが、紳士(恐らく官庁の管理職か虎の門病院のドクターだと思う)がつまみにしんとせいろで日本酒の燗を2本飲まれていた。ぼくはそのあとライカショップに寄って大阪まで新幹線で帰らなければならなかったから、お酒は飲まなかったけど、きつねそばもからみもいたわさも美味しかった。この店はそばも一品料理も美味しく値段も手頃なので、銀座や新橋に行く時に足を延ばしてみたいと思う。

     

2019.5.27にも行きました。