プチ小説「青春の光7」
「今よろしいですか、橋本さん」
「やあ、田中君、元気かい。その顔を見ると、何か面白いことを思いついたようだね」
「わかりますか。それじゃぁー、早速、聞いていただけますか」
「もちろんだとも」
「今日のネタは、大阪弁のおかしさを楽しんでいただこうと思います。タイトルは「こぶらあがりの謎」です」
「こぶらあがり?聞いたことがない言葉だな」
「今回はまず大阪弁の会話を聞いていただいて、次に標準語に近い会話による大意を聞いていただきます。以下、
母親と息子の会話です。
『おかあちゃん、どないしたん』『いたたぁーっ、ああ、お兄ちゃんか。ええとこにきたわ。じつはなぁ、さっき、
布団の上で足をぐねって、こぶらあがりになったみたいやねん』『えーっ、コブラに噛まれたんか。そら、痛いやろ』
『ちがうがな。足をぐねって』『コブラに噛まれたんやろ』『ええかげんにしーや。こぶらあがりって知らへんの。
そら、小学校5年生やったら、まだ、教えてもろてないわな』『おかあちゃん、ぼく、こむらがえりやったら、
知っとるけど、こぶらあがりはまだ習てないわ』『なんや、このコは知っとったんかいな』『もう学校行くで』
(大意:「かあさん、どうしたの」「痛い。息子よ、グッタイミングだわ。それが、布団の上で足をひねって、こぶらあがりに
なったようなのよ」「それはたいへん、コブラに噛まれたんだったら、痛いでしょう」「違うのよ、足をひねって」
「コブラに噛まれたんでしょ」「そりゃ、小学校5年生なんだから、こぶらあがり知らないのも無理ないわよね」
「かあさん、ぼくはこむらがえりだったら知ってるけど、こぶらあがりはまだ習っていないよ」「知ってるんなら、
早くいいなさい」...)」
「なかなか、いいじゃないか。ぼくはそういう会話は好きだから、80点くらいあげるよ。ネイティブの大阪弁を
他の地方の人が文章にすると少し違和感があるけど、田中君は大阪生まれの大阪育ちだからね。また同じような
楽しい会話を期待しているよ」