プチ小説「いちびりのおっさんのぷち話 ファラオってピアニストを知っていますか編」
わしが高校生の頃にレーモン・ルフェーブル・グランドオーケストラのウィヴァルディの「四季」の冬の第2楽章ラルゴちゅー曲(編曲)を聴いて、ポップ・クラシカル(クラシック音楽のポップスへの編曲)はええなと思うた。ほんで、レーモン・ルフェーブルの涙のカノンちゅー曲の他にいくつかのレーモン・ルフェーブルの編曲を聞いたが、ラルゴほどの印象は残らんかった。他にマントヴァ―二やロニー・アルドリッチのポップ・クラシカルを聴いたが、いまいち印象に残らんかった。ポール・モーリアの名曲の中にトッカータ、ノクターン、メヌエットなんかが付いてる曲があるんやが、これらはクラシックの曲やのうてポール・モーリアが発掘して編曲して不朽の名曲にしたもんやった。これらの曲はポール・モーリアのクラシック音楽に対する深い信奉が感じられるええ演奏やと思う。グリーンスリーブスやロンドンデリーエア(ダニーボーイ)なんかはジャズでもよう取り上げられるが、ざっと見渡して他に思い浮かぶんは、レイ・ブライアント・トリオが演奏しているゴールデン・イヤリングくらいで、これはサラサーテのツィゴイネルワイゼンをポップスとして歌いやすいようにしたもんをレイ・ブライアント・トリオがジャズ演奏したんもんやが、その他にはこれといったもんを思いつかん。その他にもビリー・ジョエルがジス・ナイトちゅー曲の中で、ベートーヴェンのピアノ・ソナタ第8番「悲愴」の第2楽章のメロディを取り入れて歌っとるが、これは曲のごく一部という感じで少し物足らん。そんなんでポップ・クラシカルの名演ちゅーのは生まれにくいのかなと思う。なんせクラシック音楽を愛し、クラシック音楽を自分なりの解釈で消化して、その上でジャズにしていかなあかんねんから、これはものすごい時間とセンスと体力と度胸(神聖な曲やのにこんなヘンな編曲をしてというおしかりも受けるかもしれんからな)がなければでけんことやと思うんや。わしはそんなんで今のところ、コルトレーンやポール・デズモントのグリーンスリーブスやビル・エヴァンスのダニーボーイなんかで我慢しとるが、船場は最近、ジュンク堂大阪店でおもろいCDを見つけたちゅーとったから、どんなんか訊いてみたろ。おーい、船場ーっ、おるかー。はいはい、にいさん、それはマッシモ・ファラオ・トリオの演奏のことですね。マッシモ...ファラオ...知らんなぁ、そんな人。そうですよね、私も全然知らんかったんですが、たまたまジュンク堂大阪店の棚で見つけました。へぇー、本屋でみつけたんか。そうです棚に置いてあったのを手に取ってみて、面白そうだなと思いました。モーツァルトが作曲した曲で101のシャズ演奏をしているのです。こちらはまあまあの演奏なんですが、その後アマゾンで購入した、いろんなクラシックの作曲家のピアノ曲をジャズ演奏しているのがなかなかいいんです。ほう、どんな曲を演奏しとるんや。こちらも101曲ありますから一部の紹介になりますが、ベートーヴェンの月光ソナタの第1楽章、ショパンの英雄ポロネーズ、チャイコフスキーのピアノ協奏曲第1番の第1楽章、ブラームスのワルツ第15番、シューマンのピアノ協奏曲などなど。ほう、そんなにたくさんの有名な曲を自分なりに消化してジャズの演奏をしとるんか。そうです、もしかしたら、音楽をよく知らないものが耳に心地よいというだけで愛聴盤にしたいと言っているだけかもしれませんが、少なくとも、心地よいクラシックの曲をジャズ演奏したものが少なくとも12時間近く聴けるんですから、マッシモ・ファラオという人は凄い人ではないかと思います。他にもクラシックの管弦楽作品やバッハの曲も演奏しているようですからそちらも聴いてみようかなと思っています。まあ、思い立ったらとことん蒐集する船場のことやから、わしはあれこれ言わん。そやけど本業のジャズ・スタンダードなんかを演奏しているんかいな。ええ、たくさん出ているようですよ。ただどんな人かいまいちわかりません。1965年イタリア生まれのピアニストということくらいだけです。スタンダード ベスト101というCDもありますが、こちらは高価なので、購入は私の評価が確定してからになりそうです。