プチ小説「いちびりのおっさんのぷち話 夜景を撮影するのは楽しい編」
わしがちいこい頃の夏の楽しみといえば、見通しのよい高台に椅子を置いて近所の人と眺めた水都祭(花火大会)で、その時に大阪市街の夜景も目に映ったことも覚えている。花火も夜空に花が咲いたみたいで手ェ叩いて喜んでたと記憶しとるが、夜空に放つ様々な人工灯の灯りが綺麗で夜の景色も捨てたもんやないなぁと思うたもんやった。高校の時に家族旅行で長崎に出掛けた時に夜景が綺麗に見えるやたろうという旅館に泊まったんやが、その時のことはほとんど記憶に残っとらん。恐らく夕ご飯を食べたらすぐに寝てしもうたんやないかと思う。もったいない話や。
その後何度か夜景を見てきたが、印象に残っとるんは、天神祭りの日に大阪駅前の32階建ての高層ビルから見た夜景やった。花火を上から見るのは新鮮な体験やったが、その向こうに続く市内中心部の夜景が明るく賑やかな感じがしたと記憶しとる。大人になってから夜に繁華街をほっつき歩くのが日課のようになったが、高台に上って夜景を眺めるのはほとんどなくなった。それは蚊におしりを咬まれるのがいややからやが、いつか機会を見つけて長崎の夜景を楽しめたらええと思うんや。
船場は高校の頃に神戸の掬星台で夜景を撮ったことがあるちゅーとったけど、他にも夜景を撮影したことがあるんやろか訊いてみたろ。おーい、船場ーっ、おるかー。はいはい、にいさん、ぼくは高校生の時写真部員だったので、確かに掬星台で先輩方と一緒に夜景を撮影しましたが、露光時間などがわからずちゃんとした写真が撮れませんでした。撮影に出掛けたけれど綺麗な夜景は撮られなかったというのが、本当のところです。それで最近、ひとりで掬星台に出掛けて夜景を写してきたのですが、三脚がちゃちなものだったので満足できる写真が撮られませんでした。それでも神戸の夜景は美しく、今度こそは綺麗な写真を撮ろうという気持ちになっています。
夜景は遠くから眺めると空気の揺らぎで光が滲んだような感じになる気がします。うまく言えませんが、それが宝石の輝きのように見えたり、柔らかな温かい気持ちになる光になったりするような気がします。つまり晴れている時、曇っている時、雨上がりの時と気候変動によって灯りの輝きが微妙に変わるようです。だから何度撮っても新しい発見があるんではないかと思います。
そんなことゆうても同じ三脚で撮るんやったら、結果は同じとちゃうのん。いえ、実はぼくは今から20年程前、中判カメラでの撮影をしていたので、頑丈なフランス製(GITZO社製)の三脚を持っています。これを使えば、手ブレはなくなると思います。100万ドルの夜景を上手く写すことができれば、長崎にも行ってみたいと思っています。そうか、長崎に行くんやったら、是非、やたろうの際まで行って、夜景を撮って来てほしいんやが、どないや。すみません、僕の場合、貧乏なので一泊してのんびりと撮影というわけに行きません。山陽新幹線と特急かもめを乗り継ぎお昼頃に長崎に入り、午後5時頃までは、長崎ちゃんぽんを食べたりして時間を過ごしますが、帰りの高速バスがJR長崎駅前午後8時30分発なので、午後7時30分頃まで稲佐山で撮影してすぐに帰途に着くつもりです。ネットで見ると、長崎は夜景撮影のスポットがたくさんあるとのことですから、何度か行ってみたいと思っています。いつかはやたろうにも...。そうか、そやったら、わしは船場がやたろうを訪れるのを楽しみにしとるわ。