プチ小説「青春の光85」
「は、橋本さん、どうかされたんですか。いきなり、顔や体に金粉やメリケン粉や青のりを塗って出てくるというのは、何かあったのですか」
「やあ、田中君、今日はいくつか目出度いことがあって、祝祭的なムードの中、全身で喜びを表現することにしたんだよ」
「それにしても凄いですね。胸部から上は金色というのは何度か見たことがありますが腰から下が白塗りなんですから、それより驚いたのはお腹にたこ焼き、背中にお好み焼きを描いて、青のりをふんだんに振りかけているのですから。これはどういうことなんですか」
「いや、私はたこ焼きとお好み焼きが好きだから、こうしたんだ」
「そうなんですか。それなら僕が好きな焼きうどんや焼きそばも書いてほしかったです。その上に鰹節をふんだんに振りかけてほしかったです」
「よし、わかった次回は田中君のリクエストに応えるとしよう」
「それにしてもなぜそんなお目出度い出で立ちになったのですか」
「ひとつは船場君の『こんにちは、ディケンズ先生2』 改訂版が無事出版されたからだよ」
「そうでしたね。第1巻の改訂版が出てから丁度1年後でしたね」
「それからこのプチ小説のページの項目が750となったことだ。船場君は最初このページに1000のプチ小説(細かいことを言うと今までに書かれたものの中にはプチ小説でないものもあるが)を書こうと思っていたわけだから、そのちょうど4分の3が達成できたことになる。確か2010年から船場君はプチ小説を書き始めたから、10年程でやっとここまで漕ぎつけたという感じだ」
「他にもあるんですか」
「今年は船場君が還暦になったということでいろいろやっているということかな」
「船場さんは憧れのライカM9を手に入れられたんでしたね」
「そうなんだ。船場君の拙い撮影もM9に大分助けられている」
「どういうところが他のカメラと違うんでしょう」
「まずはライカの持ち味というか、ピントと露出をきちんと合わせれば、簡単に上級者の写真が撮れるということだ」
「でもM9は自動露出じゃなかったかしら」
「そうだった。オートにすれば露出を合わせる必要がない。絞りを決めればシャッタースピードは自動的に決めてくれる」
「モニター画面も抜群なんでしょ」
「そうさ、撮った写真の拡大、拡大した位置の移動が簡単にできるから、写真の出来上がりがどうなっているかすぐにわかる」
「銀板カメラM6と比較するとどうなんですか」
「そりゃー、銀板カメラは現像してはじめて画像がどんな具合かわかる。最大で連続して撮影できるのは36枚だから、JPEG ファインで500枚(16GIGAのSDカードで)ほど撮れるのと大違いだよ」
「失敗を恐れずに撮影できるということですね」
「それから船場君は2月9日の発表会でテイク・ファイヴを演奏するということで張り切っている」
「そうですね、ピアノトリオの伴奏で演奏できるから、張り切っていると言っていました」
「そんなふうにいろんなことをやっていると10年もあっと言う間だろう」
「そんなー、全然何もなくて10年も経過させないでください。来年の3月に『こんにちは・ディケンズ先生3』と『こんにちは、ディケンズ先生4』が出版されるのですから、橋本さんにはその時に渾身のボディーペインティングをしてもらわないと困ります」
「よし、わかった。そうだその時には、たこ焼き、お好み焼き、焼きうどん、焼きそばの他、船場君が好きな餃子やオムライスやハンバーグの絵も描いてもらって、餃子のたれ、ケチャップやとんかつソースもたっぷり塗りたくることにしよう」
「わー、楽しみだな」