プチ小説「たこちゃんのアルゼンチン」

アルジェンティン アルヘンティーナ アルゲンティニーエンというのはアルゼンチンのことだけど、ぼくは、小さい頃に母親が買って来たタンゴのレコードを時々聞いていた。バンドネオンの音が刺激的だったからだけど、メロディに惹かれたのが、「ラ・クンパルシータ」くらいでなじめずにその時は終わった。アルゼンチン・タンゴは踊りの音楽で、有名な曲は「ラ・クンパルシータ」と「エル・チョクロ」くらいじゃないだろうか。いろんな有名楽団が演奏するタンゴは、コンチネンタル・タンゴと日本では呼ばれていて、アルフレッド・ハウゼ、マランド、リカルド・サントスなどの楽団などがある。ぼくが後に好きになった、「碧空」「小さな喫茶店」はアルフレッド・ハウゼが演奏したものだった。といっても、アルフレッド・ハウゼも「ラ・クンパルシータ」を演奏するので、コンチネンタル・タンゴの楽団でもアルゼンチン・タンゴは大切なレパートリーになっているにちがいない。アルゼンチンが身近に感じた切っ掛けがもう一つあって、それは高校2年生の時に関西テレビで放映していた「母をたずねて三千里」で、脚本、音楽、声優などが素晴しく、アニメの風景描写も素晴らしく、ぼくはイタリアのジェノバやアルゼンチンの各地に行ってみたいと思ったものだった。このアニメはたくさんの優れたところがあるんたけど、ぼくはアルゼンチンへの郷愁というのを音楽や風景で提示したというのが一番だったと思う。同じ頃、フォルクローレという音楽を知り、ウニャ・ラモスのケーナの演奏で「灰色の瞳」「花祭り」「コンドルは飛んで行く」を聴いていたが、LPレコードを2枚購入したくらいで、それ以上のめりこむことはなかった。社会人になって、東芝EMIのフォルクローレのオムニバスCDを購入し、その中のいくつかの曲が気に入ってしばしば聴いていたが、最近になって、クリスティーナとウーゴ(Cristina y Hugo)のCDがどうしても聞きたくなり、通販で購入したのだった。クリスティーナのソプラノの美声はやさしく滑らかでその虜となってしまった。ウニャ・ラモスは民族楽器をバックにケーナを地道に演奏するので、水墨画の世界という感じで、これもなかなか味わい深いが、クリスティーナとウーゴはウーゴのギターをバックにクリスティーナが変幻自在の歌声を披露するという感じで、華やかな感じがする。どちらもアルゼンチンのミュージシャンだが、「風とケーナのロマンス」(クリスティーナとウーゴ)は是非聴いてほしいと思うんだ。他にも、キラパジュンやパラグァイのアルパ奏者のCDを通信販売で購入したから、それが届くのが楽しみなんだ。駅前で客待ちをしているスキンヘッドのタクシー運転手は「骨まで愛して」を以前熱唱していたが、クリスティーナとウーゴなどの民俗音楽を聴いたことがあるんだろうか。そこにいるから訊いてみよう。「こんにちは」「オウ ブエノスディアス ティエネス ケ エストゥディアール マス」「何を勉強するんですか」「そら、スペイン語やがな」「スペイン語ですか」「船場はんも大学時代に文法とリーダを勉強したんやろ」「ええ、そうですが、その頃は、日本企業が中南米に進出するという話があって、ぼくも何かの足しになるかなと思って、3回生の時に習ったのでしたが、今では英語が国際語となっているので、わざわざスペイン語を勉強する必要はないかと思います。ただスペイン語の歌詞の音楽、スペイン本国の観光などに興味があれば別ですが」「なにゆーとるの、これからは、フォルクローレ、フォルクローレなんや。「コンドルは飛んで行く」をサイモンとガーファンクルみたいに歌ったり、「風とケーナのロマンス」をリコーダーで吹くのが素朴ですっごーくええんとちゃうちゅー時代がやってくるんや」「でもレパートリーが2曲だけでは...」「楽器の種類が余りないし、リズムも似通ったところがあるから、同じように聞こえるかもしれんが、クリスティーナとウーゴの歌声は彩豊かやから、まずはこのあたりからオリジナルのCDを聴いて開拓していこうかと思うんや」「鼻田さんが言われる通りかもしれません。ぼくもフォルクローレの魅力を発見することに精進します」「そうや今はその時期やエストゥディアール マスの時期や」