プチ小説「いちびりのおっさんのぷち話 水クラゲか蛸クラゲか編
わしはちいこい頃から泳ぎが苦手で、水に入ってクロールなんかをすると腕が思うように動かんから、わしには向いてないなと思うたもんやった。そやけど義務教育では水泳は必須科目でせなあかんから、嫌でしょうがなかったけど泳いだんや。やらんわけに行かんから、塩素にむせながらプールの水をがぶがぶ飲みながら泳いだもんやった。わしが泳ぐことが嫌いになったのはもうひとつあって、それは中学生の頃やったが、お盆過ぎてから播州赤穂に行った時に(家族旅行で行ったんやった)泳ごうと思うて、海面を見たら、クラゲがうじゃうじゃいたということがあった。クラゲは刺されたら痛くて、中には猛毒を持っとるちゅーのを知ってたから、こんな危険な海にはもうこれからは来んとこうと思うたもんやった。そういうわけでわしは40年以上海水浴に行ったことがないんやが、水族館に行って魚や海洋生物を見るのには興味があって、いくつかの水族館を訪れたことがあるんや。そうはゆうても、30年前に行った新潟市内の水族館や20年前に行った海遊館は何を見たら面白いんかようわからんかった。イルカやアシカのショーを一緒に楽しむような家族はおらへんし、ピラルクやアジアアロワナのような高級魚には興味がないしちゅーんで、巨大水槽をぼんやりながめて、ほんで終わりちゅー感じやった。そやけど最近になって、いろんなクラゲを陳列に凝って見せてるちゅーのを聞いていっぺん行ってみたくなったんや。聞くところによるとなぁ、山形の鶴岡市にある加茂水族館や東京のいくつかの水族館が、クラゲの展示に力を入れとるみたいや。船場はこの前、神戸市立須磨海浜水族館と京都水族館にクラゲを見に行ってきよったみたいなんやが、どんなんやったか訊いてみたろ。おーい、船場ーっ、おるかーっ。はいはい、にいさん、クラゲの展示のことですね。京都水族館はクラゲの展示のところが改修工事中で残念でしたが、須磨水族館はなかなか良かったですよ。どんなんがおったんや。まあ、一番ポピュラーなのは水クラゲでしょう、その次は蛸クラゲかな、あと、キャノンボールクラゲ、アカクラゲ、サカサクラゲなんてのもあります。サカサクラゲちゅーたら温泉マークみたいなやつか。いえいえ頭のところを水槽にくっつけて足を漂わせてるという感じで少し茶色っぽかったですね。アカクラゲは毒を持っていて海水浴客から恐れられているということです。あんたそれで写真撮ったんか。ええ、須磨水族館で撮りましたが、思った通り、室内が暗く、写真が撮りにくい環境でした。クラゲが結構動くので、30分の1以上のシャッタースピードで撮らないと駄目だと思います。1メートル以内で撮るので、絞り開放はピントが合わせにくいと思います。ISO感度を目一杯にして撮って、面白い写真が撮れればいいんじゃないでしょうか。水クラゲはそれでええかもしれんが、蛸クラゲはちいこいからうまいこと撮れへんのとちゃう。そうですね。それでも何枚か撮影したら、その中にボケもブレもなくてきれいに映っているのもありますから、10匹写っている中で3匹(蛸は匹でよかったかな)きれいに写っていたらいいんじゃないですか。京都水族館は7月中頃からクラゲの展示を再開するようですが、先に海遊館に行ってみたいと思います。コロナでなかなか行けないでしょうが、東京の水族館にも行けたらいいなと思っています。35ミリレンズだけを持って行ったので、今度は50ミリも持って行こうと思います。接写にも挑戦したいですね。で、あんたは水クラゲと蛸クラゲとどっちがええのん。水クラゲは華やかで写しがいがあると思います。蛸クラゲはかわいらしくていいです。どっちもいいですね。海遊館に行くのが楽しみです。