プチ小説「たこちゃんのウイルス」

ヴィールス ヴィルス ヴィルスというのはウイルス(ビールス)のことだけど、今、世の中は感染症で大変なことになっている。感染症により肉体が消耗して生きるか死ぬかということもあるし、療養が長くなったりすることもある。それから感染の拡大防止のためたくさんの制約を受け入れざるをえなくなり、経済や仕事や人間関係が正常に機能しなくなっている。経済は逼迫し、仕事は不自由を強いられ、人々の生活もゆとりがなくなりつつある。英知を結集して一日でも早くもとの生活になってほしいと願うばかりだ。感染症の被害だけでなく、地震や豪雨の被害に遭われた方のことを考えると、もっと気の毒だ。こちらも少しでも早くいつもの生活に戻っていただけるようにと願うばかりだ。ぼくは仕事はいつも通りしているし、休暇も以前と同じように消化できているのだから、不平を言うことはおかしいのかもしれない。でも今まで楽しみにしてきたことがすべてできなくなってしまったぼくの苦悩もわかってもらえたらと思う。お金を何とか捻出して、『こんにちは、ディケンズ先生』の第3巻と第4巻ようやく出版できたというのに、1.大学図書館がコロナ対応で忙しくされているからか、京都大学以外は拙著を受け入れていない。これでは第5巻の準備に入る気になれない。多くの大学図書館に認められてこそ、面白いためになる本ですよと言えるのだが、それができない。これでは公立図書館に受け入れをお願いすることもできない。2.遠隔地、特に東京に行くことができない。また医療従事者で3密の場所に行けないので、東京阿佐ヶ谷で3ヶ月に1回開催している、LPレコードコンサートが開催できない。またクラリネットのレッスンが6月から再開となったが、私は練習に加わることが出来ない。3.旅行が好きなので、全国の図書館に拙著を受け入れてもらうために、あちこち行こうと考えていたが、大阪市と地元高槻市だけしか、受け入れを依頼していない。土浦市、小諸市、松本市、春日井市、北九州市はぼくが自分の本の受け入れを頼んだのではなく、地元の人が受け入れを求めてくれたんだろう。拙著に興味を持っている人がいる限り、あちこちの図書館に受け入れてもらうよう頑張るつもりだが、移動が制限されていて、それが空回りしている。『こんにちは、ディケンズ先生』の続編に取り掛かれないので、他のプチ小説を書いているが、こちらも旅行、クラリネットのレッスン、隣の府県に遊びに行くことができないので、ネタを使いまわしにしている感じだ。クラリネットの先生と月に3回世間話や音楽の話をしていたのが遠い昔のことのようだ。このままレッスンを受けないまま退会になってしまうのかと考えるととても悲しい。そしてヴィオロンのLPレコードコンサートも。今まで楽しんでしていたことが出来なくなってしまったので、DVDやCDや古本を購入して時間を潰してきたが、昔のようにLPレコードでクラシック音楽を聴きながら、『こんにちは、ディケンズ先生』の続きを書きたい。これがぼくの積もり積もったやるせない思いなんだが、駅前で客待ちをしているスキンヘッドのタクシー運転手はこのコロナ禍の中で、やるせない思いをしたりして困っていることがあるんだろうか。そこにいるから訊いてみよう。「こんにちは」「オウ ブエノスディアス シエンプレ ディセス アルゴ デ マス」「そうですよね、不満たらたらと話しまくって、鼻田さんを不愉快にさせてしまいました」「そうやで、男は黙って、アサヒビールやで」「それを言うならサッポロビールではないんですか」「そういうことやから、船場はんは細かいことにこだわらんと、せっせと『こんにちは、ディケンズ先生』の続編を書いたらええんやでぇぇぇ」「でも、少なくとも楽しい気持ちにならないと続編を書くのは無理だと思います。第5巻では小川を京都に行かせて、いろいろ面白いことをさせようと考えているのですが、今のような状況では...」「そんなこと言うんやったら、こうしたる。こちょ、こちょ、こちょ」「ははははははははは、...還暦を過ぎたおじさんが年上の人にこそばされるというのは...」「ええもんやろ。わしら、息がつまりそうなったら、わきの下に手ぇー入れてな。お互いをリラックスさせるんや」「リラックスはしましたが、次はどうするんですか」「もちろん途中でこけんように、うさぎとびとリヤカーごっこをするんや」「わかりました。じゃあ、これはぼくからのおかえしです」「わっは、わっは、わっは上方」「何ですかそれは。でも愉快な気持ちになったんで、これからもよろしくお願いしますということで」「そうや、諦めん限りは、少しずつ前進するんやから、続けるということが大事なんやで」