プチ小説「いちびりのおっさんのぷち話 中古品漁りはえ~よ編」
わしがちいこい頃は、今みたいに百貨店、スーパー、コンビニでパッケージに入った食品を買うようなことはほとんどなかった。というのも、わしは百貨店に行くようなことは全然なかったし、昭和32年にダイエーの一号店が千林大宮に出来たそうやが、当時、わしの家の近くにはスーパーちゅうのはなく、だいたい片山ストアか千里市場か旭町通り商店街で買い物をしとった。コンビニはわしが中学生になったころにローソンができたくらいやった。そやから野菜は新聞紙に包んで、こんにゃくや豆腐や厚揚げはビニール袋に入れて、さしみは薄い木でできた舟に大根の千切りとわさびを乗せたのをビニール袋に入れて、買い物袋で持って帰った。お菓子もかっぱえびせんとおにぎりせんべいとぼんち揚げくらいであまりそれを買うことはなく、家でおふくろがこさえた、ふかし芋や🍠を食べることが多かった。だから今のように、スーパーやコンビニで整然と商品が並んでいるのに慣れるのに時間がかかった。そやけどわしが中学校、高校とそういうきちんとしたパッケージにだんだん慣れて来ると、そうじゃないものは清潔やないんやないかと思うようになって、中古品というものを遠ざけるようになった。正直な話、わしは社会人になっても、ほとんど中古品を買わんかった。本も、LPレコードも、CDも全部新品やった。そやからお金に行き詰って趣味に使う金がのうなってきて、文化的生活からは遠のいとる。船場は〇マゾンや〇河屋でいろいろ買うて、楽しんどるちゅーとったから、どんな具合なんか訊いてみたろ。おーい、船場ーっ、おるかーっ。はいはい、にいさん、中古レコードなんかのことですね。そうや、お前はいつごろから、中古品に抵抗がなくなったんや。そうですね、私もにいさんと同じように社会人になっても中古品を買うことはなかったのですが、中古レコードを漁るようになってからは、清潔かどうかということなんかは吹き飛んでしまって、その物に価値があるかどうかということしか考えなくなりました。ある時、レコードを購入してレコードを入れている紙袋が血だらけ(もちろん乾いていましたが)だったこともありましたが、中袋を替えてしばらく聴いていました。ということは捨てたんか。いいえ、あんまり良くなかったので買取をしてくれる中古レコード店に引き取ってもらいました。中古レコードを購入し始めたのは、以前にもこのサイトに書いたのですが、レコードマップを見て、中古レコード店に通うようになったからですが、購入した中古レコードをステレオで聴くと明らかに音が違いました。当時、レコードはだいたい2,800円だったのですが、中古レコード店で購入した、5,000円の外国盤の中古の方がずっと良い音がしたのです。またいろいろな中古品を購入し始める切っ掛けにもなりました。現役商品でないものをなるべく安く購入するというのもあるのです。古書なんかがそうです。そやけど書き込みがある本を読むのは、ちょっとなぁー。いえいえ、本は大切にされるので、昭和の頃に出版されて、他の人が読んでいた本もきれいなもんです。家にあるディケンズの本の半分くらいは古書ですが、ほとんどがきれいです。でも昭和30年より前となるとかなり傷んでいますが。LPレコードと同じで、よいCDはすぐに売り切れてしまってプレミアム盤になって、高値で売買されるようです。ハイクオリティのCDもあるので、かなり良い音で聴けるものもあります。ビル・エヴァンスの「ワルツ・フォー・デビイ」「アンダーカレント」「エンパシー」やケニー・ドーハムの「静かなるケニー」のハイクオリティCDを中古で購入して、楽しんでいます。ほしたらもうレコードは買わんでもええんか。いえいえ、やはりクラシックはLPレコードがいいです。LPレコードコンサートで取り上げたいですし。だから新型コロナウイルスが終息して、東京の名曲喫茶ヴィオロンでのLPレコードコンサートを再開できたら、新宿のディスク・ユニオンに行きたいですね。他に中古品でええのがあるか。私が使えるのは3万円くらいまでです。それだと本やLPレコードやCDやDVDくらいで、絵画や陶芸品や楽器なんかは難しいでしょう。10万円とか100万円とか熱くなって使ってしまわないように、本とかレコードだけにしときます。そら、あんたの言う通りや。