プチ小説「座談会「京都の名刹」について考える」
「こんにちは、「青春の光」で橋本さんの相方をしている、田中です。今日は、船場さんがで親しくされている方の娘さんが京都大学に入られたということもあり、京都のお寺の紹介を皆様にしていただこうと思いますが、それに先立ち、もし私に好きやんができたら、こんなところに連れて行ってあげたいというのをしたいのですが...」
「田中君、後ろで金粉ショーが必要なら言ってくれ」
「田中はんの願望が聞けるのやな。謹聴するでぇええ」
「わしも興味津々や。うんうん」
「そうです、船場さんもコロナ禍で自粛要請のため、京都に行けないと嘆いていました。それでパソコンの上での小旅行をしたいと考えました」
「それで最初はどこなんや」
「やはりお寺の魅力は建造物と庭園ということになると思います。まず庭園の方から、まず第1は、大徳寺の塔頭龍源院(りょうげんいん)でしょう。ここの3つのお庭は本当に素晴らしいです。一枝坦、龍吟庭、東滴壺、いずれも味わい深い安らぎに満ちたお庭です。第2は、東福寺です。4つの方丈庭は素晴らしいです。それぞれ趣向を凝らしていて楽しめます。塔頭芬陀院のお庭も素晴らしいので、東福寺に行ったら、是非立ち寄っていただきたいと思います。第3はやはり京都の石庭の代表的なものと言うと龍安寺ということになります。私はどちらかというとこじんまりとした石庭が好きですが、ぱあーっと華やかなのがいいと言われる方には、天龍寺、二条城の本丸庭園、妙心寺の退蔵院、おおそれから、予約が必要ですか苔寺(西芳寺)の庭園は季節ごとに表情を変えるので何度でも訪れたいお寺です。建造物では...」
「田中君、恋人といろいろなところへ行ってみたいという気持ちはよく分かるが、建造物は私に任せてくれないか。私の場合、建造物の中でも塔が好きなんだ。仁和寺の五重塔は有名だが、私は東寺の五重塔の方がどっしりとしていて好きだな。他に塔と言えば、永観堂(禅林寺)の多宝塔も厳かな雰囲気に満ちていて、手を合わせたくなる。大覚寺の心経宝塔は桜の頃、常寂光寺の多宝塔は紅葉の頃に見たいところだ」
「田中はんも、橋本はんもぎょうさん紹介してからに。わしが紹介するのなくなるんとちゃう。そうやなー、わしはもっと知られていない寺を紹介しようかな。まずは船場はんがよう行く、法然院かな。シーズンごとに見どころがあって落ち着いたほんまにええところや。比叡山の借景で有名な圓通寺は住職さんが声を掛けて下さったんやが、今、どうされているのか。わしは嵯峨野散策ちゅーのもありやと思うんやけど、落柿舎、竹林を見てから大沢池(大覚寺)まで足を延ばすのもええもんやで」
「それではしんがりを務めさせてもらいます。わしはお寺の内部の絵や仏像なんかを紹介するわ。まずは建仁寺の龍の天井画かな、ここはお庭もたくさんあるから楽しめると思うわ。うんうん。等持院はお庭もええんやが、達磨図もええもんやで。これはお寺とちゃうけど、原谷苑は桜の名所でいろんな種類の桜が楽しめるんや。うんうん」
「いちびりさん、あんた、仏像ちゅーてたけど、でてこーへんやんか」
「いやーん、いや違った、いや、ほんまのところは、わしはお寺の仏像はまだ見とらん。ほやから、見たいのを言うことにするわ。広隆寺の弥勒菩薩さん、六波羅蜜寺の空也さんそれから三十三間堂の千手観音坐像や千手観音立像はいっぺんは見ておきたいところや。うんうん」
「みなさんから、いろいろ情報をいただき、有難いです。私のデートコースの参考にもさせていただきたいと思います」
「きっと船場は、近く広隆寺と六波羅蜜寺と三十三間堂には行くと思うよ。うんうん」