プチ小説「座談会「おもろい音楽」について考える」

「こんにちは、「青春の光」で橋本さんの相方をしている、田中です。船場さんから、今日は、「おもろい音楽」について意見を交わしてほしいと言われました。橋本さん、お好きな音楽で「おもろい」ものはありますか」
「小学校低学年の時に「ケメ子の歌」で大爆笑をして以来、私はいろんなコミックソングを聴いてきた。「ケメ子の歌」が面白いのは、「帰って来たヨッパライ」と同じように声をエフェクトしているからで、この辺りが「おもろい音楽」の醍醐味といえるのかもしれない」
「歌詞が面白いのもありますよね」
「そう、その中でも、なぎら健壱の「悲惨な戦い」やミス花子の「河内のオッサンの歌」や堺すすむの「なーんでかフラメンコ」や笑福亭仁鶴の「花の定期便」なんかは何度聴いても胸に沁みる名曲だ」
「・・・・・・。音楽は人それぞれで感じ方、捉え方が違うようです。洋楽ではどうですか」
「私が中学生の頃は、洋楽のコミックソングがたくさんあった。デフランコ・ファミリーの「アブラカタブラ」やホット・ブラッドの「ソウル・ドラキュラ」やバグルスの「ラジオスターの悲劇」なんかは当時のことを思い出して、いつ聴いても心がときめくよ」
「・・・・・・。そうですね洋楽でも同じことが言えると...ところでいちびりさんのご意見はどうですか」
「最近、船場がアレンジものやまったく別の楽器で演奏するちゅーのに凝っとるから、わしも苦笑いしながらそれを聴いとる。でもな、中にはおもろいもんもある。玉石混交というところやな。音域の問題や細かくリズムが刻める楽器とそうでない楽器なんかの問題があって限界ちゅーのがあるねんけど、それを敢えて挑戦するちゅーのは尊いことや」
「そうですね、どこか凸凹していてたどたどしくってもそれが味わいになったりすることもありますね。どんなのがありますか」
「船場が、こんなんアマゾンで買うてんでとしか聞いとらんのやけど...4台のハープで演奏したヴィヴァルディの「四季」(Venice Harp Quartet)、1台のハープで演奏したシューベルトの即興曲全曲(Margit Anna)、ヴァイオリンとピアノ演奏用にショパンの曲を編曲したもの(Joanna Madroskiewicz(Vn),Paul Gulda(P))、ブラームスのヴァイオリン・ソナタをチェロとピアノで演奏したもの(Rohan De Saram(Vc),Benjamin Frith(P))なんかかな。それからシベリウスの交響曲第2番と第5番をピアノ1台で演奏したヘンリ・ジーグフリードソンがシベリウスの管弦楽曲のCDを出しているちゅーのをネットで見つけて注文したみたいや。うんうん」
「わしにも言わして。船場はんは金管楽器の超絶技巧小品集のCDを購入したみたいで、ホルンのIfor James、チューバのJohn FletcherのCDも購入したようやで」
「巣籠の時期とは言え、CD買いすぎとちゃうんかな」
「まあ、いいんじゃないですか。今は船場さんも遠方に出掛けることがままならない。小説の続編を書く雰囲気ではない。クラリネットのレッスンも再開していないという状況ですから、蒐集で船場さんの気がまぎれるなら...」
「それにハープ4台での「四季」を聴いたら、すかっとするかもしれへんでぇぇぇ」