モーツァルト●モテット「踊れ、喜べ、幸な魂よ」K165
 
この曲は3つの章に分れており、最後の章のアレルヤが有名である。映画『オーケストラの少女』の中で主人公の

少女(ディアナ・ダービン)がストコフスキーとこの曲で共演する。少女の父親の窮状を察したストコフスキーは、

少女の父親が失業者ばかりを集めた楽団でコンサートができるように取り計らってやる。『オーケストラの少女』

は、クラシック音楽を身近なものにし、そして少しの感動を与えてくれるので是非見てほしい映画である。モー

ツァルトは、この曲をカストラート(ソプラノのパートを歌う男性、声変わりしないように少年時に去勢された)

のために作曲した。カストラートは女性の立入りを禁じられた劇場や教会で一時華やかに活動したが、今では存在

しない(以前、カストラートの残した古い録音を聴いたことがあるが、曲名も覚えていないし、感銘した記憶もな

い)。愛聴盤は、アメリンクがレパード指揮イギリス室内管弦楽団の伴奏で歌ったもの。いつものようにアメリン

クは、優しく語るように歌う。派手さはないが、心に残る歌声である。超絶技巧を要すると言われるアレルヤも淡

々と歌っている。しかし、彼女独特の温かさやさわやかさがあり、聴いた後に満足感が残る。

 

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